車両盗難率ワースト1の愛知県がトヨタに要請した秘策とは?

自動車保有台数全国ナンバーワン(500万台)の愛知県は残念なことに年間交通事故死者数だけでなく、車両盗難台数、車上荒らしの全てに於いて連続年間1位の記録を更新中。

 

特に車両盗難については5年連続で全国ワーストワンとなっており、その発生件数たるや、2012年度で何と5,026件(前年比+1,418件)とダントツ状態。

この件数は自動車保有台数2位の東京都(442万台)の5.7倍と異常な数値を示しており、被害の大部分が海外に不正輸出ルートを持つ窃盗団によるものと言います。 

※2012年度 全国車両盗難件数ワースト10(保険会社調べ)

1位  愛知県   5026件     6位  埼玉県   1766件
2位  千葉県   3247件     7位  栃木県    928件
3位  茨城県   2025件      8位  東京都    875件
4位  大阪府   2000件      9位  兵庫県    828件
5位  神奈川県  1804件        10位   岐阜県   724件

盗難に遭う車種はトヨタのハイエースやランドクルーザー、プリウスなど特定の車種に集中しており、海外の道路事情で需要の多い車種や夜間に走行音の静かなHVが対象となる傾向。

以前に「年間で19倍! プリウスの盗難台数激増中のワケとは?」でも触れたとおり、近年ではイモビライザー機能をキャンセルするイモビカッターなどの併用により、施錠しているのに盗難に遭うケースが大半(80%)とか。

日経新聞によると、愛知県警はこうした盗難事件の早期解決に向けて、外から見て盗難車かどうかを判別可能にする「ビジブル VIN」プレートの設定をトヨタ自動車に要請、盗難件数の多いランドクルーザーへの装着が実現した模様。

なにせ、従来はエンジンフードを開けなければ車体のフレームナンバーが確認できず、捜査に手間取っていたようで、その間に海外へ持ち出されてしまうケースが多かった模様。同県警では盗難車の早期発見に繋がると期待しているそうです。

この「ビジブル VIN」はフロントウインドシールドガラス下端部(車内側)の車両外から目視が可能な位置に固定された10cmほどの金属プレートで十数桁の数値の羅列が刻まれており、記載内容を照合することで車両情報が読み取れるもの。  VIN:vehicle identification number(車両識別番号)

欧米向けの車両では古くから「VINプレート」の名称で設定されているもので、ナンバープレートなどのように簡単に取り外せない構造となっている為、効果が期待されているようです。

とは言え、あくまで盗難後の早期発見への対応に過ぎない為、ユーザーサイドが大事な愛車に2重、3重の盗難防止処置を講じておく必要がある事は言うまでもありません。

 (Avanti Yasunori) 

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この記事の著者

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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