欧州に於ける新車販売は1990年代半ば以来の最低水準に落ち込んでおり、自動車メーカーの各工場は稼働率を大幅に引き下げて操業しているものの、従業員数や設備の規模は好況期から変わっていないと言います。
フランスの大手ルノーに於いても自動車販売が大きく落ち込んでいることから生産過剰となり、コスト削減の為に1月15日、2016年末までにフランス国内従業員の14%に相当する7500人規模(うち自然減5700人)のリストラ計画を発表。
これを受けて労使対立が鮮明化。以前に「フランス政府が雇用維持でルノーに日産車の生産を要請 !?」でお伝えしたとおり、ルノーの経営状況を重く見た仏アルノー・モントブール産業再生相が18日、ルノー会長でもあるカルロス・ゴーンCEOに「日産がフランス工場を支援すべく、フランスの生産ラインに仕事をもたらすべきだ」と要請する事態に。
そうした中、ロイターやウォールストリートジャーナルなどが伝えるところによると、29日にフランスのルノー工場で大規模なデモが発生、ルノーの従業員1000人以上がフランス各地で作業を放棄している模様。
ルノーの幹部らはパリ本社で組合側との交渉に臨み、国内の年間生産計画を10万台増やして70万台強にすると提案する一方で勤務時間の延長、賃金上昇率の引き下げ、人員削減を受け入れるよう要求しましたが、交渉は決裂。
会社側はこのまま交渉が成立しない場合は工場閉鎖を示唆しており、それが現実のものとなれば同社は組合や政治家からの激しい抵抗に遭うことが予想されます。
こうした動きはPSAプジョー・シトロエンでも同様で、従業員が本社で抗議行動を繰り広げる中、生産性向上と8000人規模の人員削減計画をめぐって労組との協議が続いている状態。
CFDT(フランス民主労働総同盟)はルノーの計画について「現状では受け入れられない」としており、同社のカルロス・ゴーンCEOの経営責任問題に言及。
このように仏の自動車業界も日本の家電業会と同様の事態に追い込まれているようで、予断を許さない状況。フランス政府を含めた今後の動向が非常に気になるところです。
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