2005年に登場した初代三菱アウトランダーは、スポーティな7人乗りSUVとしてロシア・欧州でヒットしました。まさに「厳しい自然のロシア」と「強豪揃いの欧州」で、パジェロやランエボで培った三菱の技術が認められたのです。また特にロシアでは現地生産が行われ、世界戦略車としても成長。2代目となる新型アウトランダーでは、オールラウンダーとしての性能はそのままに、上質で安心安全、更には環境に優しいSUVへの進化を遂げたのです。
■スポーティなミッドサイズ7人乗りSUVは「次世代環境SUV」へ進化!
初代三菱アウトランダーは、三菱の屋台骨を支える主力プラットフォームを初採用した戦略車でした。その後登場したデリカ:5、ランエボX、ギャランフォルティス、RVRは、まさに「アウトランダー一族」と言えるでしょう。デザイン本部長を歴任して新型アウトランダーの開発指揮をとった岡本PX(プロジェクトエグゼクティブ)は、開発コンセプトに「人と自然をつなぐ、次世代環境SUV」を掲げました。プラットフォームを熟成しながら品質向上と軽量化を両立させるという、困難なプロジェクトを推し進めたのです。
■「100kgの軽量化」と「2WDモードの廃止」が基本性能アップのポイント
新型アウトランダーの基本性能で求められるのは、環境と安全性能の向上でした。まず重いSUVで燃費に一番効くのはダイエット!そこでプラットフォームの構造変更や高張力鋼板による薄板化を徹底し、見事「100kg減」を達成しました。また安全性能では従来の2WDモードを廃止、通常は効率的な2WDながらスリップ時に4WDが起動して安定走行を確保する「4WDエコモード」を新設しました。今迄はユーザーの2WD要望になびいていたそうですが、燃費を犠牲にしない「あるべき提案」なら大歓迎ですヨ!
■シルエットは、硬いけれど人に優しい「メタルコクーン」
新型アウトランダーのデザインは、東京モーターショーで公開された「PX-MiEV」が原点で、更に「高品質&厚車格」を狙いました。しかしクロカン然とした「厚車格」では、アウトランダーが持つ軽快さやスポーティさが消えてしまいます。そこでデザイン陣が求めたキーワードは「メタルコクーン」、硬くて軽くてシンプルながら、乗る人を優しく包み込む金属の繭をイメージしたのですね。一見大柄でボクシーなアウトランダーですが、次世代環境SUVに相応しく「人に優しく寄り添う」ような印象を受けました。
新型アウトランダーの世界戦略車ぶりは、ロシアでの現地生産やコアプラットフォームの進化・熟成だけではありません。ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせた安全走行支援システム「e-アシスト」や、ランエボとは異なる横滑り防止システム「S-AWC」の新規採用に加え、最近では三菱が誇る電気自動車技術を最大限応用したプラグインハイブリッド「アウトランダーPHEV」を投入するなど、最新技術が惜しげもなく搭載されています。まさしく、三菱の近未来像がぎっしり詰まった「次世代環境SUV」といえるでしょう。
新型三菱アウトランダー http://www.mitsubishi-motors.co.jp/outlander/special/new2012/main.html
(拓波幸としひろ)