米ブランドのイタ車は誰が買うのか?

クライスラーが日本に新たに投入する2台のクルマを発表、お披露目しました。

300と

イプシロンです。

300は、これまでもクライスラーとして発売されてきた車種です。ダイムラークライスラー時代に、「クライスラーもダイムラーの影響を受けてこれくらいシッカリしたクルマを作るようになったんだ」と言われたように、それまでのクライスラーらしい、大柄でダイナミックで、ちょっとイカツさも色濃く感じさせるようなクルマです。

対して、イプシロンは違います。クライスラーは、長年米国ビッグスリーとして、GM、フォードとともにアメリカを代表するブランドとして知られています。が、2009年に経営破綻し、フィアットが資本参加して技術提携として、グループのランチア・イプシロンをOEMとしてクライスラー・イプシロンとして発売することになりました。世界的に、台数を販売するにはコンパクトカークラスが必要であり、アメリカのメーカーはその技術を持っているブランドと提携して販売することが多く見られます。例えばGMはシボレーソニックを韓国GM(元のデーウ)で生産しています。

自動車に詳しい人なら、アメリカブランドになったイタリア車を欲しがる人っているのかな?と余計なことを考えてしまいます。

発表が行われた渋谷の会場では、車両の説明、マーケティングの話など、オーソドックスな発表会のメニューの後、DJを招いたパーティが開かれました。

我々自動車メディア関係とは、ある意味まったく関係なさそうなオシャレな女性も多く参加していました。そうした女性の会話によると、「今夜はDJを招いたパーティだって聞いたから来てみたんだけど、クルマが置いてあるんだね。ところでDJクライスラーって有名なの?」という「???」な会話がなされていました。

クライスラーが自動車のブランドであることをまったくご存知ないわけです。

そういった人々に「クライスラーはクルマである」ということを知ってもらえた(と思える)だけで、マーケティング戦略が当っているわけです。先入観のない人に、どの国の自動車のブランドがどんなイメージだから、などと知らせる必要もないわけですね。

300の価格は「リミテッド」が398万円、「ラグジュアリー」が538万円。イプシロンの価格は「ゴールド」が235万円、「プラチナ」が260万円です。ぜひ一度、先入観なしにディーラーで見てください。

(小林和久)

この記事の著者

編集長 小林和久 近影

編集長 小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務める。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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