以前に「地球上から石油がなくなるXデーまで、あと何年?」でも触れましたが、近頃 「シェールオイル」や 「シェールガス」という言葉を耳にするようになりました。
日本でも発電量を補う為に輸入されている火力発電用LNG(液化天然ガス)の輸入価格が高いことが電気料金の値上げに繋がっていることから、地下2000m程の固い岩盤層に封じ込められている「シェールオイル」や 「シェールガス」に注目が集まっています。
従来不可能だった「縦堀り」後の「水平掘り」技術と地層に割れ目を作る「水圧破砕」技術を米国が開発したことで採取が可能となり、既に商業的に実用化されています。
ちなみに「シェールオイル」は石油の元となる成分を10%程度含む、頁岩(けつがん)と呼ばれる「オイルシェール」を粉砕&乾留することで得られる油で、地中のシェール層を新しい掘削技術で人工的に破砕して中に閉じ込められている天然ガスを採取したものを「シェールガス」と呼びます。
確認されている埋蔵量が在来型天然ガスの約7倍に当たる「400年分」相当と言われており、大きな期待が寄せられています。
おりしもNHKが11月13日のニュース報道で、「IEA(国際エネルギー機関)が発表した世界のエネルギー需給の見通しに関する報告書によると、今後5年以内に米国が世界最大の産油国になるとの見通しを明らかにした」と伝えました。
報告書では現在米国は国内のエネルギー需要の20%を輸入に依存しているものの、近いうちに中東の原油生産量を抜いて世界最大の産油国になるだけで無く、2035年までには国土全体のエネルギー需要をすべて自給できるようになるとしています。
一方、日本ではエネルギー利権絡みの影響なのか、こうした新エネルギーの存在について今まで積極的に報道されることは無かったようですが、今年10月には秋田県 由利本荘市の鮎川油ガス田で地下約1800mの岩盤から、シェールオイルの試験採取に成功した模様。
2013年には採掘を本格化させ、秋田県に続き新潟県などでも国内最大級の油田を整備する計画が有るそうで、資源に乏しい日本のエネルギー事情にも一筋の光が見えて来ました。
天然ガスである「シェールガス」は火力発電用に燃焼させても従来の石炭や石油に比べてCO2発生量が半分程度と少ないそうで、コスト的にも自国内で生産できるとなれば当然メリットが発生し、電力料金の値上げが不要になるばかりか、理論的には値下げだって可能に。
更に国産「シェールオイル」が輸入主体の石油に取って代われば、ガソリン価格も値下げが可能となり、自動車ユーザーにとっても大きなメリットが出そうです。
再生可能(自然)エネルギーが普及するまでの間、天然ガスのニーズは今後益々高まるものと思われ、電力や石油の生産コスト削減に貢献する可能性を秘めた 「シェールオイル」や 「シェールガス」は米国に限らず日本でも「一大エネルギー革命」を巻き起こす事になるかもしれません。
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