現時点で、実用化されているEV(電気自動車)、PHV(プラグインハイブリッドカー)用の急速充電システムは日本で規格化された「CHAdeMO」だけですが、欧米の自動車メーカー8社が普通充電と急速充電を組み合わせた「コンボ」コネクターを提案したのが2012年5月のこと。
その「コンボ」コネクターが、アメリカでの急速充電の規格となったことがSAE(Society of Automotive Engineers アメリカの標準化団体)より発表されました。
この画像は、上が車両側コネクター、下が充電ケーブルのプラグですが、すでにアメリカと日本で普通充電の標準規格となっている丸いSAE J1772コネクターに楕円を組み合わせた、まさに”コンボ”コネクターとなっています。
また、この「コンボ」コネクターは欧米8社が推していますから、これにより「CHAdeMO」コネクターは日本国内だけの規格になりかねません。
写真はマツダデミオEV。
ただし、欧米の「コンボ」コネクターが、すぐさま同じ規格になるのは難しい面もあります。アメリカとドイツのEV・PHVを比べるとわかるように、それぞれ普通充電コネクターの規格が異なるのです。
ドイツはIEC 62196-2 Type2規格が主流(写真はBMWのコンセプトカー)
SAE J1772が単相なのに対して、IEC 62196-2 Type2は三相です。またコネクター形状も異なっています。もちろん欧州メーカーが提案する「コンボ」コネクターは、そのIEC 62196-2 Type2との組み合わせが前提でしょう。
果たして欧州メーカーは普通充電をSAE J1772としてアメリカ式の「コンボ」を採用するのでしょうか? また同じ欧州でもルノーやプジョー・シトロエンなどは「CHAdeMO」コネクターを推していますから、すんなり欧州で統一されるともいえません。アメリカで規格化されたと聞くと、世界で統一されたような印象を受けるかもしれませんが、まだまだ充電コネクターの統一には時間がかかりそう。いや、このまま地域ごとに異なるコネクターになっていくのかもしれません。とにかく、その動向からは目が離せない状況です。
●関連リンク
SAE International Releases New Fast-Charging “Combo: Coupler Standard (SAE J1772) for Plug-In Electric and Electric Vehicles(英文)
http://www.sae.org/servlets/pressRoom?OBJECT_TYPE=PressReleases&PAGE=showRelease&RELEASE_ID=1897
(山本晋也)