目で見てもハッキリ違いがわかる! AAA-aは濡れた路面で速く曲がれる夢のタイヤ!!【ダンロップ“未来のタイヤ”試乗-1】

タイヤを市販化するまでには様々なハードルが存在する。最終的な問題は価格ということになるだろうが、研究開発段階には耐摩耗性やノイズ、その他の安全性など、いくつもの課題をクリアしなければならない。

今回はそんな開発途上のタイヤを試乗させてもらえることになった。夢のタイヤグレーディングAAA-aタイヤ。超軽量タイヤ。超低転がりタイヤなど、エコをテーマにした3種類の「未来のタイヤ」に試乗することができたので報告してみよう。

 

まずは、ラベリング制度で低燃費タイヤで最高のAAA-aを実現したタイヤ。 

AAA‐aはある意味夢のタイヤである。2010年からエコタイヤの指標としてタイヤの転がり抵抗とウェットグリップ性能を組み合わせたタイヤグレーディング制度が始まった。メーカーごとに低燃費タイヤの性能を謳っていたのでは、どのタイヤが本当に省燃費性能が優れているのか判りにくいためで、日本タイヤ協会(JATMA)が消費者に対し適切な情報を提供することを目的に作ったラベリング制度。そのラベリングの元になるテスト方法は厳密に決められ、グレーディングは極めて厳密である。

ちなみに転がり抵抗は、転がり抵抗係数 (単位=N/kN)によってAAA、AA、A、B、Cと転がり抵抗が低い順で定められ、低燃費タイヤを謳うためには転がり抵抗A以上が必要であるとなる。同時にウェットグリップ性能も併記され、こちらは基準タイヤに対してのウェット時の最大Gの強さを%で基準タイヤより強いGを発生するaから低いdまでに区分され、c以上であることが必要となる。

つまりAAA‐aというグレーディングは転がり抵抗もウェットグリップも最高に優れている事がテストによって証明されている事を表している。

一般的に、転がり抵抗とグリップ性能はトレードオフの関係にあり、グリップ性能が高くなれば転がり抵抗は少なくなる傾向にある。それを解決して転がり抵抗が少なくウェットグリップのいいタイヤの開発を進めている。今回試乗したタイヤはまさにAAA‐aを実現したタイヤである。

比較用として市販タイヤ=エナセーブプレミアム(AAA‐c)と履き比べてみた。

走り比べて不思議だったのは、タイヤが路面をとらえている感触が明らかに違うことだ。AAA‐aのほうがタイヤが路面をとらえているコンタクト感がしっかりあって、クルマの安定感も高い。はっきりとタイヤのグリップの違いが実感できる。

それでいながら、時速80キロからニュートラルにして惰性で約1kmを走らせた時のスピードの落ち方はほとんど変わらなかった。

この感覚はとても不思議。手元に届く感触からすると明らかにグリップ性能が違うのに、転がり抵抗はかわらないのだ。


同じ半径の円を走らせてみると、左のAAA-aが車体の沈み込みが大きい。つまり、より高いスピードで走ることができているのだ。

ウェットグリップはスキッドパットの旋回スピードで明確な差が表れた。半径30mの0.6μの滑りやすい路面で旋回スピードを比べたところ、エナセーブプレミアムが36キロ、AAA‐aは46キロだった。明らかに横Gの強さが違う。どうやらコンパウンドのグリップのメカニズムから違っているようで、これまで履いたことのある省燃費タイヤとは一線を画す乗り味だった。

 

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(斎藤 聡)

 

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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