新型ワゴンRは技術屋の意地をかけた会心作だった ! 【動画】

スズキの新型「ワゴンR」は9月6日の発売以降、販売が好調で、9月度の販売実績は20,891台(前年同月比+28.6%)でN BOXを抑えて軽部門で堂々の第1位となっています。

軽自動車初となる低燃費化技術「エネチャージ」、「新アイドリングストップシステム」、「エコクール」を全車に採用、軽ワゴンでトップの低燃費、28.8km/L(JC08モード)を実現するなど話題も豊富。

「エネチャージ」ではエンジン始動用の鉛バッテリーとは別にA4サイズ程のリチウムイオン電池を助手席シート下に搭載。アクセル・オフ時やブレーキング時に発生する減速エネルギーで発電した電気を蓄電して、エアコンやオーディオなどの電装品に供給しています。

小型リチウムイオン電池

これによりオルタネーターの負担が軽減され、必要時のみ作動→エンジン負荷が軽減・エンジン再始動頻度低減→燃料を更に節約という一連の流れを構築。オルタネーター容量も約2倍にアップされており、発電量にも余裕が有ります。

全車標準装備のフルオートエアコン

全車フルオートエアコン標準装備。温調ダイヤルのしっとりとした操作フィーリングが絶妙。

「エコクール」はエアコン内部のエバポレータに蓄冷材を設置して走行中に凍らせておき、アイドリングストップ時に蓄冷効果でキャビン内を冷房。暑い季節でも1分程度は冷風が持続。

「新アイドリングストップシステム」は13km/h以下から作動するように改良され、減速時に従来よりも早くエンジンをストップさせることで、燃料を節約。

これらの数々の低燃費化技術を実際に体感すべく、先回のスイスポ試乗に続きスズキ・アリーナの武田店長に協力頂いて街中で試乗して来ました。

試乗車は水冷直列3気筒DOHC12バルブエンジン搭載の売れ筋FXリミテッド(125万円)。
出力は52ps/6000rpm、最大トルクは6.4kg・m/4000rpmと平均的ですが、先代比で最大70kgもの軽量化が図られた結果、車重が790kgに抑えられており、NAモデルでも十分な加速力を発揮します。

乗り味の方も柔らか過ぎず硬過ぎずで、軽と感じさせない仕上り。注目の「新アイドリングストップシステム」は停止時にブレーキを緩めてしまっても1回までなら再び自動でアイドリングストップする設計。

エンジン再始動時の振動は非常に軽微で最近の欧州車よりも出来が良いと感じました。

キャビン内は動画の如く、走行時も静かで普通の声量で会話が可能。乗員スペースが広く、特に後席膝元や頭部スペースは余裕タップリ。

余裕タップリの後席膝元スペース

走行時はメーターの青・緑の発光色でエコ運転を促してくれます。(緑がエコ運転)
タコメーターは全車標準装備。

「エコクール」は「エネチャージ」との連携プレイでアイドリングストップ時もエアコンからの冷気が途絶えないため、確かに暑い日もかなり快適です。

これは実用性大で他のメーカー車でも必須アイテムと実感。特別高価な仕掛けでは無く、コストをかけずにアイデアで勝負しているところがGood。

今回の新型ワゴンR開発は鈴木 修会長(兼社長)肝入りのプロジェクトだったようで、ライバル車を見据えたモデルチェンジの前倒し、大幅軽量化、惜しみ無い新技術投入、価格抑制と、開発陣は要求される難題に相当苦労したと思われますが、その甲斐有ってデザイン、居住性、走り、静粛性、燃費などの面でバランスのとれたスズキの「意欲商品」に仕上がっていると確信した次第。 

■スズキ ワゴンR 公式HP http://www.suzuki.co.jp/car/wagonr/

■取材協力:スズキ アリーナ三河豊田店  http://s23211200.suzuki-dealers.jp/

Avanti Yasunori

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この記事の著者

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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