1億総介護時代に向けて、知っておきたい介護車両【スロープ付き車編】

日本は1億総介護時代へ向けて確実に進んでいるわけですが、バスや鉄道と言った公共交通機関ではバリアフリー化が進み、リフトやスロープと言った車いすのままで利用できる設備が増えてきました。
そして、自家用車でも車いすのまま簡単に乗り込めるようにしたスロ―プ付き車両が、各メーカーから販売されています。

写真はダイハツ タント スローパーですが、基本的な構造は同じで、ラゲッジルーム後部に折りたたみ式のスロープを設け、車いすのまま乗降可能になっています。リヤバンパーは大きく開き、また乗降の際に介助者の負担を低減させるため、電動ウインチがフロアに設置されているのが基本です。

車内には車いす用にしっかりとしたシートベルトが備わり、車いすに座ったままでも高い安全性を確保している事が伺えます。

また、車いすでの乗車が無い場合には、しっかりと4名乗車を可能とするために、折り畳み式の後部座席を採用。畳んだ状態でも車いすの乗車は可能ですが、足もとの広さを確保する必要がある場合には座席を取り外す事も可能となっています。

 スズキでは、軽ワンボックスのエブリィにスロープと車いす搭載装置を取り付けた車両の設定があります。

こちらも折り畳み式のスロープに電動巻き上げ式のベルトを備え、介助者のリモコン操作で車内に車いすのまま乗り込む事が出来ます。

後席には介助者用の補助席を設置。3点式シートベルトとヘッドレストが装備され、通常の座席同様、安全性も確保されています。

スズキではヘッドレストを装備し、シートベルト適切な位置に装着できるようにした、福祉車両対応の車いすを用意しました。

もちそん販の車いすを乗せる事も可能です。

また1570mmと乗車スペースを広く取ってあるので、スズキ セニアカーの搭載も可能です。

 

日産からは新たに設定されたセレナ チェアキャブスロープタイプが用意されており、広い室内空間を活かし、車いす2名分の乗車にも対応しています。 

車いす1名乗車の場合でも、サードシート位置だけでなく、セカンドシート位置にも車いすの固定装置を備える事で、車いすに乗られている方の 視界を確保、移動中に他の乗員とのコミュニケーションも取りやすくなっています。

各メーカーで豊富なラインナップを取り揃えるスロープ付き車両は、電動ウィンチ等を備える事で介助者への負担も軽減するほか、エブリィの車いす仕様車のように、補助席でも例外なく乗員の安全性が確保されている事にとても感心しました。

また、車いすの固定装置や専用のシートベルトを備える事で、他の座席と同様に、車いすでの乗車でも安全性が確保されていますが、福祉車両のオプションとして用意されている車いす以外ですと、ヘッドレストが無かったり、シートベルトが正しい位置に通せなかったりする車いすが存在すると言った課題もあるそうです。

また車いすユーザーからは軽量な車いすが好まれる傾向があり、強度と重量の兼ね合いという課題もあるようです。今後は車いすメーカーからも数多く、福祉車両に対応した車いすの開発に期待したい所です。
(井元 貴幸)