スマホも電気自動車も充電にケーブルが不要な時代がやってくる【CEATEC2012】

10月2日から6日まで、幕張メッセで開催されるアジア最大級の最先端IT・エレクトロニクス総合展「CEATEC JAPAN 2012」。

IT業界は今、スマートフォンの活用を様々に提案していますが、スマートフォンも電池が切れてしまえば使い物になりません。充電ケーブルが煩わしかったりするのでついつい充電を忘れてしまうこともありますし、特にクルマの車内ではあのケーブルがうっとうしい。そこで非接触給電方式のワイアレス充電器が重宝されるわけです。

すでに家庭用の置き型には採用例が多い非接触給電方式のスマートフォン充電器ですが、これまでは各社が様々な独自規格で生産していたため、機種とほぼ同数の充電器が必要でした。それを統一規格としてまとめようというのが「Qi(チー)」というものです。

Qiのすべて
http://qi-wirelesspower.com/

送電側の給電器を用意しておけば対応機種であれば全て受電できるという「qi」、クルマの車内でも給電トレーをあらかじめ用意しておけば置くだけで充電できる、というわけです。トヨタ系の部品メーカー「デンソー」もコンソールに埋め込むタイプの給電器試作品を展示していました。

送電側の給電器はかなり小さいので様々なものに簡単に埋め込むことが出来るとのこと。上の写真のように一体どこが給電器なのかわからないほどスタイリッシュにまとまります。

最近、何かと話題の日産NV200の電気自動車。充電はノーズのコネクターにケーブルを挿し込むことになるわけですが、チョット未来のEV充電は違ってくるようです。

TDKのブースに展示されていたシボレーボルト。これがチョット未来の充電方式の概念模型なっていたのです。

TDKが提案したのは非接触給電の方式の中でも最先端な磁場共鳴方式を採用した給電システム。難しい技術的なことは端折るとして、キモは給電と受電のポイントが多少ずれても送電が可能であるというところです。
例えば駐車場の枠内にさえクルマが入っていれば右に寄っていようが左に寄っていようが充電できるというわけです。

ポイントが多少ずれても充電できる磁場共鳴式であれば、インフラさえ整えば走行中でも充電できる。その概念模型も展示されていました。ルートがあらかじめ決まっている路線バスなどでは停留所やバスレーンに給電器を適宜接地していけば充分に役割を果たすということで、走りながら充電するバスも近い将来には登場することでしょう。

TDK TechMAG 第131回 暮らしを支える新しいワイヤレス送電技術 -磁気共鳴伝送の仕組み-
http://www.tdk.co.jp/techmag/knowledge/200912u/index2.htm 

ケーブルから解放されるだけでスマホも電気自動車も自由度はかなり拡がります。特に重いケーブルを扱う電気自動車には早くワイアレス時代が到来して欲しいと考えます。

(北森涼介)

 

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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