残念ながら2012年で運用が終わってしまったスペースシャトル。しかし、そのテクノロジーは地上で活用されています。
フォード・フュージョンに搭載された”エコブースト”2.0リッター・ターボエンジンために開発された、ターボチャージャーがそれ。排気エネルギーを受けるタービンホイールの開発にあたって、耐久性や耐熱性を考慮して、フォードとサプライヤーであるボルグワーナーのエンジニアは、市販ターボ素材としての上限にチャレンジしています。
従来までの、フォード・エクスプローラーなどに搭載される2.0リッター・エコブーストエンジンに使われているタービンホイールの上限温度は摂氏970度でした。しかし、フュージョンやフォーカスSTに搭載される、よりスポーティーな2.0リッターエコブーストエンジンのタービンホイールの上限温度は摂氏1050度となっているというのです。
タングステンやコバルトを混ぜた合金を使用したゆえの耐熱温度ということですが、その合金こそスペースシャトルのメインエンジン高圧燃料ターボポンプや高圧酸化剤ターボポンプ・ブレードに使用された素材と同じなのだといいます。
こうしてタービンホイールに高温まで対応できる合金を使用することで、ターボチャージャーの信頼性を上げ、ライフを伸ばしています。また、このボルグワーナー製K03ターボチャージャーは、エンジンが回っているときは主に油冷、エンジンを止めると水冷システムがターボチャージャーの冷却をフォローするという水&油冷の両方を備えているので、さらに耐久性に優れているのだそうです。
(山本晋也)