歴代インプレッサの中でも迷要素満点なのがインプレッサ カサブランカ。
当時クラシカルな外装を纏った軽自動車が大流行していたのを受け、インプレッサスポーツワゴン1.5Lモデルをベースにレトロ調のエクステリアを纏って登場しました。
97年の東京モーターショーに参考出品され、98年に5000台限定で発売。その後99年にはまさかのカタログモデルとなり、GF型生産終了までラインナップされていました。
レトロ調の元祖とも言えるスバル サンバーディアスクラシックやヴィヴィオビストロが大ヒットしていたのとは裏腹に、カサブランカの売れ行きはいま一つでした。
フロントマスクはバンパー一体式デザイン、リヤ周りは専用テールランプと専用リヤバンパーを装備。
他にも専用インテリア等も装備されていましたが、スポーティな外観の標準インプレッサが人気であった事や、ベースの1.5L C’zと比較すると+10万円と言う車両本体価格はリーズナブルと言えそうですが、コストパフォーマンスを重視するユーザーの多かった1.5Lモデルでは、装備に不満の無いC’zの魅力が光った事も原因となっていたようです。
サンバーもヴィヴィオも元々のボディラインはレトロ調にマッチするデザインだった為、前後のデザインだけを変えても違和感が少なかった事もヒットの要因と言えますが、カサブランカはスポーティなイメージのインプレッサにはアンバランスだった印象があります。
しかしながら、フロントマスクやテールランプなどをレトロ調とした専用パーツがブレイク。
GF型インプレッサに乗るオーナーからは、中古パーツやオークションで出回っているカサブランカテールの流用が流行っており、オークション等では通常のGF用テールランプより数千円程高い値段が付いています。
また、カサブランカはバックランプがリヤバンパーに内蔵されるため、通常のテールランプにバックランプがありません。
そこで後付けでバックランプを設置するかリヤバンパーもカサブランカ用を装着してしまう人もいるようです。
フロントはWRX、リヤはカサブランカと言う前後のイメージが全く違う仕様の他、中にはWRX STIのフロントマスクをそっくりカサブランカ顔にして、カサブランカSTIとしてサーキット走行などをしている人もいるそうです。
ベースモデルは今一つの売れ行きだったカサブランカは、登録台数が少なかった事でパーツ自体の流通量も少なかった事もあり、人とは違うドレスアップを好むユーザーには注目度満点と言えます。
不人気車でありながら、後にパーツのみが人気が出ると言うのも珍しく、これこそ迷要素と言えそうですね。
(井元 貴幸)