7月3日に年次改良が実施されE型になったエクシーガ。そのE型登場と同時に発表となったのがSTIが手掛けるスペシャルチューニングモデルが「エクシーガtS」。
STIのチューニングが随所に施されたtSはエクシーガだけでなく、これまでにもレガシィ、インプレッサWRX STI、フォレスターに設定がありました。
最初にtSの名称を与えられたのは、2010年BM/BR型現行レガシィ1回目の年次改良でB型となったツーリングワゴン/B4。2.5GT S packageをベースに、フレキシブルタワーバーや専用サスペンションといった足回りのチューニングを筆頭に、フロントアンダースポイラーやリヤスポイラーを初めとする空力パーツの追加、STI製のスポーツマフラー、専用インテリアなどの特別装備が追加された仕様が600台限定で登場しました。
tSモデルの登場前に先代レガシィの2回目の年次改良にあたるC型に2.0GT spec.Bをベースとしたtuned By STIというモデルが存在していましたが、まさにこれこそtSのルーツとなるモデルです。
tuned by STIは先代レガシィB4とツーリングワゴンがC型からE型まで存在していました。
そしてtuned by STIはレガシィのほかにもう一車種あり、それが2009年に登場したB型エクシーガ tuned by STIでした。
tuned by STIからtSへの名称変更は、STIからラインナップされているSシリーズやRシリーズもtuned by STIであることから、その紛らわしさを回避するために変更されたと言われており、目指す方向性はノーマルの良さを引出し、走りの質感を上げる事により誰が運転しても気持ちの良さ、運転する楽しさを伸ばすと言う点ではレガシィやエクシーガのtuned by STIと変わっていません。
しかしながら、ベースモデルが年改を行って着実に熟成進化しているように、STIのコンプリートカーも同様に進化し続けています。
例えば今回発売になったE型エクシーガ tSでは、B型エクシーガ tuned by STIでフロントにフレキシブルロアアームバーを採用していた部分をフレキシブルドロースティフナーに変更し、大きく操舵した時に切れ込みの良さを実現します。
装着されている剛性アップパーツの殆どは市販のものと違い、一定方向からの力に対する”逃げ”の部分があり、これは踏ん張る所はしっかり踏ん張り、逃がすところは逃がすことで剛性アップを果たしながら、不快な振動や乗り心地の悪化を防ぐ優れものです。
このフレキシブルシリーズと呼ばれるパーツは、レガシィ・インプレッサ・フォレスター・エクシーガそれぞれの良さを最大限に活かせるよう、異なった物が用意されています。
これぞSTIのトップガンである辰巳 英治氏の拘りの部分であり、匠の技の部分であるとも言えます。
車種毎に異なったパーツを用意し、走りの気持ちよさ、楽しさに重点を置いたtSシリーズは、各モデルでATが選択出来る事から、SシリーズやRシリーズに比べると、STIコンプリートカーの入門編と言えるモデルなのかもしれません。
ただ、tSモデルの惜しい所は、標準グレードのように簡単に試乗が出来ない事と、台数限定により考え込んでいると売切れてしまう事だと思いました。標準モデルもさることながら、tSの様なモデルこそ試乗車で体感出来ればと思います。
いずれにせよSTIの手がける「調律」が施されたtSは、フォレスターのようなSUVでもエクシーガのようなミニバンでも、走りの良さ・気持ちよさを体感できるモデルと言えます。
(井元 貴幸)
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