BMW6シリーズ グランクーペはスポーティな4ドアです【BMW 6Series GRANCOUPE】

見た目の印象は先に紹介しましたが、走りの印象もBMWです。

5mを超える全長ながら高いボディ剛性のおかげもあって操る感覚はまさに意のまま、ボディを小さく感じられ軽快な走りが楽しめます。アクティブステアリング(前後統合制御ステアリング・システム)といった電子デバイスは、他社のものでは時折「あれ?」といった違和感を受けることもありますが、この6シリーズグランクーペではそんなことも感じず、リニアにノーズを曲げてくれ、サイズからは想像できない小気味良さを楽しめました。

エンジンはすでにおなじみとなった3.0Lの直6ツインパワー・ターボ。バルブトロニックとダブルVANOSとツインスクロールターボを組み合わせた、BMWの基幹エンジンと呼べるもので、動力性能にも不満なし。わずか1300rpmから450Nmという最大トルクを発揮する非常にトルクフルなユニットで、最高出力は320ps/5800rpmですから、かつてのBMW直6のように高回転までよどみなく回るといったタイプではありません。

ですが、変速がズムーズなパドル付き8速ATと組み合わされることもあって、市街地では粛々と走り、峠道ではエンジン性能を満喫できます。近年はデュアルクラッチが注目ですが、これだけ変速が素早く、かつ低速でもぎくしゃくしないトルコンATですと、トルコンATも良いなぁ、と思ってしまいます。

車両重量は約1900kgと重たいわけですが、ホイールスピンをさせられるだけの力は十分にあります。それでいてJC08モード燃費は12.4km/L。減税&補助金の対象車です。

ドライビング・パフォーマンス・コントロール(スロットルやトランスミッション、エアコンなどの制御を変えるシステム)でDSC(横滑り防止装置)も解除できますから、サーキットで遊ぶ、なんて場合にも大丈夫。450ps/650Nmという4.4LのV8、650iは後れて秋に登場ですが、どれだけ速いんだよ! って感じですよね。

と、3.0Lでも十分に速いグランクーペですが、乗り心地も非常に快適です。試乗車はMスポーツなため標準よりも1インチ大きい、フロント245/40R19、リヤ275/35R19のミシュラン・プライマシーHPを装着していたのですが、荒れている路面をしっかりと封じ込め、路面のうねりをいなし、高い剛性のボディとしっかり働くサスペンション、そしてしっかり包んでくれるたっぷりしたサイズのシートと静粛性の高さもあって非常に快適です。4ドアクーペと言いますと、走行性能や動力性能、そしてスタイリング重視かと思いがちですが、グランクーペは快適性も犠牲になっていませんでした。

そうそう最後に取り回しですが、前後にPDC(パーク・ディスタンス・コントロール)、リヤカメラが備わるほか、オプションで車両を上から見たような画像のトップビューやサイドビューカメラも装着できます。また、縦列駐車をサポートするパーキング・アシストもあります(こちらは編集長が後述)。こうした電子デバイスは日本が先進といったイメージがありますが、輸入車も負けていないですよね。

6シリーズ グランクーペはワイド&ローでスポーティな4ドアクーペですが、見た目通りの走りと見た目を上回る快適性を持った1台です!

■BMW 6シリーズ グラン クーペ 640i/650i(F06)
http://www.bmw.co.jp/jp/ja/newvehicles/6series/gran_coupe/2011/showroom/index.html

(佐藤みきお)

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