まるで電車みたい。三菱ふそう、もうひとつのハイブリッド方式とは?

5月18日にモデルチェンジした三菱ふそうキャンター エコ ハイブリッドは、パラレル式ハイブリッドシステムを採用し、12.8km/Lの低燃費を実現しました。


ところで、三菱ふそうにはキャンターとは異なるハイブリッド方式も実用化されていたのをご存じですか? それが2007年に登場した三菱ふそうエアロスター エコ ハイブリッドに搭載されたシリーズ式ハイブリッドシステムです。

シリーズ式の特徴は発電専用のエンジンを搭載し、駆動は100%モーターで行なうという点にあります。簡単に言えば、電源を背負った電気自動車ということになります。

発電用の4M50エンジンは、総排気量4.889Lで最高出力132kW(180ps)/2700rpm、最大トルク530N・m(54kgf・m)/1600rpmを発揮。普通のバスと同じように最後部に搭載されています。

また補機類の駆動にも20kW出力のモーターを使用してエンジンの駆動ロスを解消。40kW出力の発電用モーターは、エンジンの下に搭載されています。

発電、回生された電力は屋根上に搭載されたマンガン系リチウムイオンバッテリーに充電します。総電圧は634V。

VVVFインバータ制御装置はシーメンス製で、エンジンルームの上に2ユニット搭載されています。
同じくシーメンス製のN10形交流誘導モーターは、79kW出力のものを2個搭載。減速時はタイヤの回転力を電力に変換してバッテリーに充電する回生ブレーキも備えています。なおVVVFインバータ制御装置とモーターは路面電車用のものを使用。

電動機用減速機(ギヤ比1:4.052)で2個のモーター駆動力を統合し、最終減速比1:5.052駆動用減速機(ディファレンシャルギヤ)で左右のタイヤに駆動力を分配します。なおモーター駆動のためクラッチと変速機はありません。

リヤタイヤは435/45R22.5の超扁平シングルタイヤを装備し、後輪間の通路幅634mmを確保しました。

モーター駆動なので、メータークラスターの中央には大型のバッテリー残量計を配置。タコメーターは申し訳程度に配置されています。

シリーズ式ハイブリッドを搭載した三菱ふそうエアロスター エコ ハイブリッドは発電時のエンジン回転数が低く一定のため、エンジン音が非常に静かなこともあり、まるで電車の様な走行音を楽しめるのですが、残念ながら2010年9月で製造を中止してしまいました。

でも、都内で手軽にこの走行音を楽しめる場所があります。それが羽田空港、各ターミナルビルを循環する無料バスに5台のエアロスター エコ ハイブリッドが使用されています。

京急バスが運行を担当している無料循環バスですが、第1、第2国内ターミナル間を循環する系統には白い車体のエアロスター エコ ハイブリッド3台を使用しています。

また各国内ターミナルと国際ターミナルを循環するバスにはグリーンのカラーリングを施したエアロスター エコ ハイブリッド2台を使用しています。

この無料循環バスは誰でも乗車することができますが、航空機利用客優先ですので、空いている時間帯を狙う方がいいでしょう。

なおパラレル式ハイブリッドの日野ブルーリボンシティ ハイブリッド(BJG型)も1台使用されていますので、異なるハイブリッド方式による乗車フィーリングの違いも体験もできます。

またハイブリッド以外の循環バスもありますが、短距離区間にまとまった台数のエアロスター エコ ハイブリッドがいますのでかなり高確率で見ることが可能。

その他、エアポートリムジンなどたくさんの種類のバスがやってくる羽田空港はバスだらけでバスマニアならずとも楽しくなってしまいますね。

(ぬまっち)

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この記事の著者

ぬまっち(松沼 猛)

ぬまっち(松沼 猛) 近影
1968年生まれ1993~2013年まで三栄書房に在籍し、自動車誌、二輪誌、モータースポーツ誌、鉄道誌に関わる。2013年に独立。現在は編集プロダクション、ATCの代表取締役。子ども向け鉄道誌鉄おも!の編集長を務める傍ら、自動車誌、バイク誌、鉄道誌、WEB媒体に寄稿している。過去に編集長を務めた雑誌はレーシングオン、WRCプラス、No.1カーガイド、鉄道のテクノロジー、レイル・マガジン。4駆ターボをこよなく愛し、ランエボII、ランエボVを乗り継いで、現在はBL5レガシィB4 GTスペックB(走行18万km!)で各地に出没しています。