新型キャラバンとハイエース、どっちを選ぶ?【新型日産NV350キャラバン誕生】

モデルチェンジした日産NV350キャラバンですが、月販目標は2000台として1BOXのシェアを40%まで回復させるという重要な使命を背負っています。そして目標を達成するためには超強力なライバルであるトヨタ・ハイエースのこの堅固な牙城を突き崩さなければなりません。日産はそのためのアドバンテージはあると自信を見せましたが、そのアドバンテージはどのようなモノでしょうか? ここでは中核グレードとなる日産NV350キャラバン バン プレミアムGX・ロングボディとトヨタ・ハイエース バン スーパーGL・ロングボディを中心に比べてみましょう。

キャラバンは全長4695mm×全幅1695×全高1990mm、ホイールベースが2555mm。ロングボディは低床フロアと平床フロアが設定されますが、プレミアムGXは低床フロアのみの設定。

参考までにスーパーロングはハイルーフのみの設定で全長5080mm、全高2285mm、ホイールベース2940mmとなります。

一方ハイエースは 全長4695mm×全幅1695mm×全高1980mmでホイールベースは2570mmとキャラバンとほぼ同じサイズです。

なおスーパーGLにはロングボディミドルルーフ車の設定がありますが、こちらは全長4840mm×全幅1880mm×全高2105mmのワイドボディ車となります。ホイールベースは標準ルーフ車と同じ2570mm。

エンジンは3タイプありますが、プレミアムGXでは2WD車と4WD車に新開発の2.5LディーゼルターボエンジンYD25DTTiを設定しました。

クリーンディーゼルテクノロジーを駆使したYD25DTTiは、最高出力95kW(129ps)/3200rpm、最大トルク356N・m(36.3kgf・m)/1400-2000rpmで、JC08モード燃費は11.4km/L〜12.4km/Lです。プレミアムGXの2WDには2.0LガソリンのQR20DEも設定されていますが、こちらは最高出力96kW(130ps)/5600rpm、最大トルク178N・m(18.1kgf・m)/4400rpmでJC08モード燃費は9.7km/L〜9.9km/Lとなります。

このほかにワゴンとスーパーロングボディ2WD車に2.5LガソリンエンジンのQR25DEを設定。最高出力108kW(147ps)/5600rpm、最大トルク213N・m(21.7kgf・m)/4400rpmでJC08モード燃費は8.7km/L〜9.1km/Lとなっています。

ハイエースのディーゼルターボエンジンは排気量3Lの1KD-FTVでスーパーGLの標準ルーフ車(2WD/4WD)とミドルルーフ車(2WD)に設定。

排気量が大きいため、最高出力106kW(144ps)/3400rpm、最大トルク300N・m(30.6kgf・m)/1200-3200rpmとパワー面では勝りますが、トルクが劣り、JC08モード燃費も10.6〜11.4km/Lキャラバンを下回ります。標準ルーフ車(2WD)には2Lガソリンエンジンの1TR-FEも設定。最高出力98kW(133ps)/5600rpm、最大トルク182N・m(18.6kgf・m)/4000rpmとパワー、トルクは若干上回りますが、JC08モード燃費も9.2km/L〜9.6km/L。またミドルルーフ車(4WD)には2.7Lガソリンエンジンの2TR-FEを設定。最高出力111kW(151ps)/4800rpm、最大トルク241N・m(24.6kgf・m)/3800rpmとパワフルですが、JC08モード燃費は8.3km/L〜8.8km/Lとなります。

このあたりは開発時期や排気量の違いなどもありますので単純な比較は難しいのですが、現状ではキャラバンが燃費面で優位に立ったようです。

キャラバンのトランスミッションは全車に5E-ATと5MTがありますが、プレミアムGXは5E-ATのみの設定です。

ハイエースは4速ECT(オートマチック)と5MTを設定していますが、スーパーGLは4ECTのみの設定となっています。

ATとしては5速のキャラバンに軍配が上がると言えますね。

最新型ということでキャラバン プレミアムGXなど一部グレードには、インテリジェントキーとプッシュエンジンスターターを装備。

キャラバンは足踏み式パーキングブレーキを採用しました。

そのほか燃費計表示付メーターなど、キャラバンは時代の要求に応えた設計になっています。

荷室のサイズですが、キャラバン プレミアムGXのロングボディは荷室長3050mm×荷室高1325mm×荷室幅1520mmで、床面地上高は625mmとなっています。

リヤシートは5:5分割可倒式となり、超尺物積載時でもリヤシートに1名座ることが可能です。

ハイエースロングボディ スーパーGLは荷室長3000mm×荷室高1320mm×荷室幅1520mm。床面地上高は620mmで荷室寸法はキャラバンより若干小さくなりますが、床面地上高が5mm低いのが有利ポイントか。

リヤシートは分割可倒はできません。

気になる価格ですが、NV350キャラバン バン プレミアムGX・2WD・ロングボディ・標準ルーフのガソリンエンジン車で262万800円。ハイエース バン スーパーGL・2WD・ロングボディ・標準ルーフのガソリンエンジン車は263万5000円とキャラバンの価格設定が低くなっているようです。

ハイエースは登場から8年経過しているモデルであることを考えると当然かもしれませんが、やはりNV350キャラバンがハイエースに対してアドバンテージを持っているのは確か。差は大きくないかもしれませんが、こういった積み重ねがユーザー達にどのように判断されるのか。なにしろユーザー個々で使い方が全部違うと言ってもいいジャンルですから、この対決の行方が非常に興味深いところです。

(ぬまっち)

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この記事の著者

ぬまっち(松沼 猛) 近影

ぬまっち(松沼 猛)

1968年生まれ1993~2013年まで三栄書房に在籍し、自動車誌、二輪誌、モータースポーツ誌、鉄道誌に関わる。2013年に独立。現在は編集プロダクション、ATCの代表取締役。子ども向け鉄道誌鉄おも!の編集長を務める傍ら、自動車誌、バイク誌、鉄道誌、WEB媒体に寄稿している。
過去に編集長を務めた雑誌はレーシングオン、WRCプラス、No.1カーガイド、鉄道のテクノロジー、レイル・マガジン。4駆ターボをこよなく愛し、ランエボII、ランエボVを乗り継いで、現在はBL5レガシィB4 GTスペックB(走行18万km!)で各地に出没しています。
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