ハイエースといえば、国内の商用車の代表格でありながらドレスアップのベース車として人気が高いクルマです。
現在国内でラインナップされているハイエースは貨物自動車扱いになる4ナンバー、1ナンバー登録のモデルが多く、フルエアロにローダウンしたSUPER GLに梯子や脚立を搭載しているクルマなどを良く見かけます。
乗用扱いになる3ナンバーのハイエースワゴンもありますが、乗車定員が10人となるモデルのみで、ミニバンの売れ筋である7、8人乗りと言ったモデルは乗用仕様には存在しません。どちらかと言えば、送迎用や大家族用と割り切った造りが特徴であります。それゆえに国内では乗用モデルの人気はいま一つのようです。
しかし人気の200系ハイエースのオーナーの間で密かに噂となっている乗用モデルが、タイで生産されているVentury。
ベースはまんま200系ハイエースですが、インテリアはアルファード、ヴェルファイアを超える豪華な作りとなっています。
マニアの間では”タイエース”とも呼ばれているこのクルマ。
豪華な内装に加え、エクステリアも純正クオリティのエアロパーツが装着されており、国内でも販売したら売れるような気がします。
タイではこのVenturyというクルマ、RVと言うよりショーファードリブンとしての扱いになるようで、現行型である200系後期モデルではVentury GとVentury Vという2つのモデルがラインナップされていますが、前期モデルではさらに上級のVentury Majestyというモデルも存在しました。
大型の液晶モニタを備え、オットマン付のレザーキャプテンシートや随所に配された木目パネル等は国内仕様には無い物です。
写真では7人乗りに見えるMajestyですが、実際は3+3+2+3の11人乗り。え?と思われるでしょうが、フロントシートは実は3人掛け、セカンドシートに見えるキャプテンシートは実はサードシートで、液晶モニターの入るキャビネットに後ろ向きに座る格納式の3名分の補助席があります。
現行型ではMajestyはラインナップから外れましたが、Ventury 2.7Gと2.7Vは今も生産されています。こちらはセカンドシートに回転対座機能を持たせたキャプテンシート仕様で、2.7Vがレザー仕様、2.7Gがモケット仕様となっています。
タイトヨタで生産されるVenturyですが、並行輸入には色々と問題点があり、国内には殆ど入って来ていないそうです。通関手続きや国内登録の大変さもさる事ながら、意外な問題としてタイで生産されるゆえリヤヒーターが無いという問題があり、温暖な気候のタイでは不要のリヤヒーターも、広大な室内空間を持つハイエースを日本で乗るには必須ともいえる装備が無いのは厳しいと言えます。
他にも乗車定員が11人となり、そのままでは国内では中型自動車(限定なし)以上の運転免許が必要になります。
街にあふれるアルファード、ヴェルファイアとは一味違うVentury、ベースがワイドボディ、ミドルルーフになるのでボディの大きさがネックですが、その分広い室内は国内のミニバンでは味わう事の出来ないゆとりがあるのが魅力です。
トヨタから国内仕様のVenturyが発売される事に期待したいですが、販売好調のLクラスミニバンとの競合やボディサイズを考えると現実的では無いかもしれません。
(井元 貴幸)