ダイハツといえば、ミライースや「TNP」のCMが印象的だったムーヴ、そして「ecoIDLE(エコアイドル)」を5車種に設定するなど、エコなコンパクトカーを世に送り出しているメーカーという印象をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。
しかし、ダイハツは過去には競技ベースの名の下にかなりトガったモデルを次々に世に送り出していたのです。
まず最初に登場したのが1984年に登場した「シャレード926ターボ」というモデルです。
元々はリッタカーだったシャレード。1000ccターボモデルでラリーに参戦していたのですが、当時のターボ車は排気量でのクラス分けの際に1.4をかけた数字(ターボ係数)が適用となり、上のクラス(1300~1600ccクラス)との戦いを強いられ苦戦していました。
そこで「1.4かけても1300cc以下になる排気量」として926ccのSOHCターボエンジン(76馬力)を搭載したのが926ターボでした。
その車両をホモロゲーションを取得するために200台を生産したのです。
翌年1985年には当時ダイハツとエンジン供給契約を結んでいた「デ・トマソ社」の手により、上記926ターボをベースにし、エンジンをDOHC化して120馬力までアップさせミッドシップに搭載。ボディをブリスター化しリアに225サイズのタイヤを飲み込んだコンセプトモデル「シャレード デ・トマソ926R」を東京モーターショーへ登場させます。
実際に走行も可能だった車両で市販化を期待する声もあったのですが、残念ながら市販されることもモータースポーツへの参加もありませんでした。
もしここでWRCに出場し大活躍していたら……果たしてどうなっていたでしょうか?
その後は3~4代目のミラに「X4-R(3代目)」「X4(4代目)」という最初からエンジンのファインチューニングやクロスミッション、LSDを搭載した競技用のエボリューションモデルを追加し、全日本ラリー選手権ではアルトワークス勢との熾烈な優勝争いを演じる事となります。
また1998年にはシャレードの後継車種であった「ストーリア」にシャレードと同じ手法で、ターボ係数をかけても1000cc以下となるように713ccのターボエンジンを搭載したストーリアX4を登場させます。
このエンジンはなんと713ccながら120馬力を発生し、リッター当たり168馬力という物凄い数値を叩き出しました。
これは市販車としては破格の数値で、現行GT-R(3799cc 550馬力)のリッター145馬力を上回るパワーとなるのです!
ストーリアの後継となった「ブーン」にもX4は設定されていましたが、ダイハツのモータースポーツ活動の縮小と共に2009年一杯で廃止となり、2代目ブーンには設定されることはありませんでした。
残念ながらダイハツは8月にコペンの生産終了も控えており、スポーツモデルがラインナップから消えてしまうことになりますが、再びこういったモデルが復活する日を楽しみにしたいと思います!
(小鮒 康一)