新型レガシィのCVTはエンジンに合わせて最適化【新型レガシィ マイナーチェンジ】

マイナーチェンジで話題沸騰の新型レガシィD型ですが、今回はCVTのお話しです。

現行レガシィで初採用されたCVTシステム、リニアトロニックですが、今回のマイナーチェンジではそのリニアトロニックの改良も施されました。最大のポイントはエンジン性能に応じた最適化が実施されたことです。

FA20DITエンジン用の高トルク対応リニアトロニックの特徴は、高出力エンジンに対応させるために強度を向上させたほか、スポーツ性能と静粛性の向上も両立しました。

 

エンジン側にあるトルクコンバーター分にはツインダンパーを内蔵しています。

このツインダンパーは低回転域での振動・騒音性能を向上させると共に、高トルクにも対応。

 

またオイルポンプの作動音を低減させるために、ケース固定部には制振プレートを追加しました。

 

プライマリープーリーとセカンダリープーリーを結ぶチェーン(奥側)はチェーンサイズ、チェーンピッチ共に手前の従来型よりも10%ショート化。これによってチェーンとプーリーの回転時に発生する起振力を下げると共にチェーン音を低減させました。

 

変速モードはSIドライブのモードに連動しています。

Dレンジとiモード、Sモードの時はCVT変速を行ないますが、S#モードの時は8速自動変速なり、段付加速をする演出が施されました。なおMレンジの場合はiモード、Sモード時で6速マニュアル、S#モード時で8速マニュアルとなります。

 

またリニアトロニック搭載車として初めてVTD(不等&可変トルク配分電子制御)を採用。これによって前後トルク配分は45:55を基本として55:45まで電子制御で可変し、スポーティな走行を実現しました。

 

 

一方、2.5リッターNAのFB25エンジン車用のCVTはインプレッサに搭載した軽量・コンパクトなCVTをベースとして静粛性を向上させた新リニアトロニックを採用しました。

 

こちらもオイルポンプの取り付け部には制振プレートが装備されたほか、ショートピッチチェーンの太さを最適化しています。左がDIT用、右がNA用です。

こちらのAWDシステムも新世代アクティブトルクスプリットAWDとなりました。こらは従来からの入力トルクや4輪の車輪速による差回転補正を改良すると共に、VDCシステムからハンドル角、ヨーレート、横G情報をTCU(トランスミッションコントロールユニット)に伝えることで、前後輪のトルク配分精度が向上。コーナー進入時の操舵初期の反応が高まると同時に、タックイン抑制、ステアリング操作時補正によるタイトターンブレーキング現象の抑制、そしてスリップ補正によるホイールスピンの抑制を行ないAWD性能の底上げも図っています。

新型レガシィのCVTはAWDシステムやSIドライブなどのシステムと連携することによって、さらに真価を発揮すると言えるのではないでしょうか。

(ぬまっち)

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この記事の著者

ぬまっち(松沼 猛) 近影

ぬまっち(松沼 猛)

1968年生まれ1993~2013年まで三栄書房に在籍し、自動車誌、二輪誌、モータースポーツ誌、鉄道誌に関わる。2013年に独立。現在は編集プロダクション、ATCの代表取締役。子ども向け鉄道誌鉄おも!の編集長を務める傍ら、自動車誌、バイク誌、鉄道誌、WEB媒体に寄稿している。
過去に編集長を務めた雑誌はレーシングオン、WRCプラス、No.1カーガイド、鉄道のテクノロジー、レイル・マガジン。4駆ターボをこよなく愛し、ランエボII、ランエボVを乗り継いで、現在はBL5レガシィB4 GTスペックB(走行18万km!)で各地に出没しています。
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