アクアには、トヨタグループの「ものづくりの力」が目一杯宿っています!【新型トヨタアクアのすべて/メカニズム編】


アクアの開発と生産は関東自動車工業が担当しました。生産工場は東日本大震災で被災した岩手県にあり、立地が内陸で津波被害はなかったものの電気や物資が途絶えたため復旧は難航。それでも震災後一ヶ月余りで操業を再開し、当初の予定通り昨年末にアクアを発表するに至ったのだそうです。本当に素晴らしいと思います。

アクアでは気になるメカニズムが2つあります。
ひとつはボディ構造で、先代プリウスではなく、ヴィッツのプラットフォームを採用・延長して、リアスペース拡大とバッテリーユニットの設置をはかりました。

「ヴィッツのフロアを基本として、そこにセンターフロアパン&クロスメンバーを新設。燃料タンクとバッテリーを配置するスペースを生み出している。」
「燃料タンクの前に、小型化したハイブリッド用と補機類用のバッテリーを収容。後席シートの左アンダーカバーにバッテリーパックへの冷却風取り込み口を設け風量を確保している。」

アクアでは重量物のバッテリーユニットをホイールベース内下部に収めることができ、重量バランスと低重心を両立することができました。走りの素性はパッケージングで決まるのでこれは期待大ですね。


ふたつめは、先代から踏襲した1.5Lエンジン版THSⅡのブラッシュアップです。

「駆動用バッテリーは、効率的な各部品の配置に加えて、プリウスの168セルから120セルに低減し電池サイズを約29%もコンパクト化した。これらの変更でリヤシート下への設置が可能となっている。」
「電動ウォーターポンプは、エンジン回転数や負荷などを総合的に判断し、冷却水量を効率よく制御。電動とすることでベルトを廃止しフリクションを低減させるとともに、ブロック側面に配置できるためエンジン全体のサイズも小型化できた。」

特に補機類では、電動化済みのパワステとエアコンに加え、新たにウォーターポンプを電動化したことで「補機類のベルトレス化」が実現しました。これも大容量バッテリーを搭載するハイブリッドならでは!なのでしょう。始動/補記類用の鉛バッテリーが「レス化」される日も来るのかもしれませんね。


関東自動車工業にとって、アクアは全く初めてのハイブリッド車だったそうですが、「アクアを震災復興の希望の星にしたい。そのために、製造品質向上に従来より時間をかけた。」という心意気がまた素晴らしい!

東京モーターショーでモリゾウ社長が語った「日本のものづくりの力を信じている!」という言葉の重みと凄さを、震災から一年経った今、あらためて噛み締めています。

(拓波幸としひろ)