必見! クルマ好きも思わず飛びつくエコカーの条件とは?

ガソリン価格が一向に下がる気配が無い事や世界経済、エネルギー事情などへの不安から省エネ意識が高まり、ユーザーの関心が大型ミニバンに代表される「広さ」や「ゆとり」から「燃費」へ、更には「コスパ」へ移行。それを受けて各カーメーカーはあの手この手のエコカー開発合戦を繰り広げています。

そして古くは「排気量」や「馬力」をウリにしていたように、最近ではCM等で「燃費」や「価格」などの「数値」を前面に押し出すようになりました。

それもあって、今や前評判が高いエコカーの発売ともなると予約が殺到、発売日以降にオーダーしていたのではヘタをすると「見飽きた頃」に納車・・・なんて事にもなりかねないので、発売前から実車を見ること無くオーダーを入れるまでの状況に。

とは言え、どんなクルマでもそうですが、買った後に取り回し性や乗心地、エンジンの音質、アクセル・レスポンス、ステアリングの手応え、静粛性、内装の造りなどが気になり出すことも。

皆が競って買い求めるクルマが必ずしも自分の感性にフィットするとは限りません。「良い物を長く大切に」が本来のエコの有るべき姿だとすれば、長く愛用し続ける為には「運転する楽しさ」、「心地良さ」といったドライビング・プレジャーの部分が重要になって来るので、少なくとも事前に試乗等で確かめておきたいところです。

ここで、人気のエコカーの性能を下表にまとめたので比較検証してみましょう。。性能の目安となるPWレシオやTWレシオはカタログ記載値から算出したもので、0-100㎞/h加速データはクルマ雑誌等に掲載の実測値から拾ったものです。

表の見方は横棒グラフが右へ長い程、穏やかな性能、左側寄り程活発な性能であることを表しています。ジャンル違いではありますが、クルマ好きに人気が高いスイフトスポーツのデータを参考記載しておきました。これらの数値比較から見えて来るのは燃費重視の人気エコカーの動力性能はスポーティーカーとは流石に隔たりが有るという点。(有る意味当然かも)

試乗を併用すると、加速時のエンジンのフィーリングやタイヤノイズ、乗心地、インテリアの質感、更には価格設定の妥当性など色々な面が見えて来ます。中には従来構造の地道な見直しと数々の創意・工夫で燃費以外の部分も含めて上手くバランスがとれているクルマも。

一方、同じエコカーでも欧州車には今尚、開発思想の根底に「FUN TO DRIVE」が根付いているようです。従ってエコや環境対応へのアプローチも異なり、エンジンの排気量を小さくして「小食化」した上で走りに必要なレスポンスは過給器でがっつり補完しているといった具合。

更にエコカーと対極のスポーティーカー部門に目を転じれば「FUN TO DRIVE AGAIN」を体現したようなハチロクやBRZが出現。総合性能への評価も高く、「やればできるじゃん!」が証明されています。開発責任者の「想いの熱さ」が効を奏したケースと言えるでしょう。

そう、開発時に大きな苦労が伴うでしょうが、やればできるのです。是非その開発手法をスポーティーカー以外のジャンルにも適用して頂きたいものです。

さて、前置きが長くなりましたが、以上を踏まえて標題の「クルマ好きも思わず飛びつくエコカー」をスポーティーカー好きのAvantiが独断と偏見を交えて提案してみたいと思います。コンパクトカークラスのエコカーで言えば例えばこんなクルマ。

●小排気量水平対向エンジンを小型過給器と小型強力モーターでアシスト。具体的には・・・
・1.2~1.4L級の元気な水平対向エンジン(アイドルストップ付き)搭載
・フードを下げて運転視界向上 ・低重心化でコーナーリング性能向上
・小排気量化で軽量化、燃費向上、小型過給器分のコスト捻出
・発進時はモーターで素早く加速、その後はエンジン+過給器併用
一定速度で巡航時は小排気量エンジンのみで省エネ走行

●フロント・リヤサス共にシンプル構造で可。但しショックアブソーバに重点的にコストを投入

(狙いどころ)
エコカーが不得意とする中・高速域の加速性能を向上、且つ低く軽いエンジンの恩恵で車両運動性能向上が見込め、更にはデザイン制約(フード高さ)も緩和されるなどメリット多し。振動収束性の良い上質なダンパー採用でドライビング・プレジャーを併せ持つ、クルマ好き納得のエコなコンパクトカーが実現するのではないでしょうか。カーメーカーさん、是非ご検討を!

こちらも併せてお読み下さい。 https://clicccar.com/2012/02/19/115041

(Avanti Yasunori )

【画像がすべて見られない方は>>>  https://clicccar.com/117803

この記事の著者

Avanti Yasunori 近影

Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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