昭和のハチロクといえば、レビンとトレノ。双子ながら、固定式ヘッドライトのレビンとリトラクタブルライトのトレノは、フロントマスクが全くの別デザインでした。ボディ上下を白黒と赤黒で塗り分けたアペックス仕様は、本当にカッコよかった~。
平成のハチロクこと「トヨタ86」と「スバルBRZ」は、レビンとトレノほどデザインの差異はありません。 それもそのはず、当初は全く同じデザインで、エンブレムだけを取り換える計画だったそうです。誰もが差別化したいと考えるのに、企画立案時にできなかった訳ですから、どれだけ難航を極めたプロジェクトだったかが伺えます。
しかもデザインはトヨタの担当ですから、スバルとしても歯痒いというか、悩ましいところだったでしょう。それでもデザインの差別化が決まる前から、スバルではBRZのスケッチを描きはじめていたそうですから、根性入ってます!スポーツカーだもん、そうこなくっちゃ!
差別化の対象は、もちろんフロントマスク。 まずバンパーでは、トヨタ86が縦基調のフロントマスクに対して、BRZはアイデンティティのヘキサゴングリルを織り込んで、横基調のデザインを採用しました。またターンランプとポジションランプも横一線に並べて、横の統一感を訴求。そのためにはポジションランプをヘッドライトに内蔵しなければならず、ヘッドライトの中味も作り替えることになったそうです。暗がりで光るコの字型のポジションランプは、個性的な特徴になっていると思います。
ちなみに86と比べると、微妙にヘッドライト形状も違っています。「どうせヘッドライトを全部作り替えるなら、もっとデザインを変えちゃえばいいのに!」と思っていたら、実はヘッドライトのアウターユニットは86と共通なのだそうです。ヘッドライトにバンパーを被せて、見映えを変えているとのこと。なるほど~。
内装も基本的には86と共通ですが、上級グレードにシルバーのインパネパネルを採用して違いを出しています。いかにもスバルらしいのは、86の「ステッチ入りシフトノブ」を採用しなかったこと。握った時の違和感がないようにという、スバルのドライバーに対するこだわりを感じます。
スバルBRZは、背低・低重心の生粋スポーツカーでありながら、長く付き合えそうな大人の味わいを醸していると思います。「子供が親に似てくる」ように、「クルマも開発責任者に似てくる」と、双子の両車を見比べてあらためて実感したりして~。
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