RedBullX2010のコンセプトは各種のレギュレーションの枷を外したと云う他に、もう一つ大切なポイントが有ります。それは「人が操れる事」 幾ら暴力的な加速力を得ても、地面に貼り付く様なコーナーリング性能を得ても、乗っている人が耐えられなければ意味が有りません。そこで、「 レッドブル X2010 プロトタイプが勝ち得たパフォーマンスは、最高時速450km/h以上、最大横加速度8.75G。生身の人間が耐えられる限界ともいうべき性能です。」(グランツーリスモドットコム より) 加速度:Gですが最近のジェットコースターには5Gを超える物が有る様です。が、どちらかと云えば前後(加速)方向ですし、ただ捕まってだけいればよいものと、自分で操るのでは大変さは比較出来ません。尤もベッテル選手の様なスーパーアスリートでなければこんな車は扱えないのでしょうが。
さて、この車の大きな特徴はフェアリングで覆われたタイヤでしょう。
少し前までF1を始めとするフォーミュラ-カーでは発生する空気抵抗のおよそ半分は剥き出しのタイヤが原因と云われていました。(進行方向向きに回って空気を掻き乱してますしね。)そこで、X2010は前後輪共にタイヤを覆う事で、大幅な空気抵抗の軽減を図っています。モノコックとフロントタイヤフェンダーとの位置関係については東京モーターショーで展示されていたAudi R15と同様の空力処理の思想を感じます。また、後方に乱流を送らない様に水滴型のフォルムをしています。
モノコックサイドについては現在のF1と同様に下側がえぐられています。
そしてタイヤの乱流がを無視出来るレベルになるのかターニングべインが無いのが新鮮です。また、レギュレーションに縛られていないので、無駄なフロアパネルが有りません。(注:F1のレギュレーションでは前後輪の車軸の間は真上から見た形をカバーしてフロアパネルが貼られていないとレギュレーション違反です。それはバックミラーが突き出していても同様) いまのF1 とは違ってボディー下面に積極的に空気を送り込もうと云う意思は感じません。これはこの車最大の特徴「ファン」サクションシステムが備わっているからです。
過去にCAN‐NAMとF1で実戦投入された事がある「ファンカー」は圧倒的なコーナリング性能を武器にレースを制圧しました。車の構造を大幅に見直さなければならない為他のチームは追従できません。そんな事も有り、CAN-NAMは1シーズン、F1ではたったの1レースで禁止となってしまいました。
そんなエア・アウトレットがこちら。ディフューザー等と相まって複雑な造形を構成したリアセクションです。
このマシンは1/27~29の福岡モーターショーでも展示されます。
(川崎BASE)