GT300チャンプ車を売っちゃう? 初音ミクBMW、StudieAG鈴木社長に訊く その4【痛車 スーパーGT】

初音ミク グッドスマイル BMWのエントラント代表であるStudie AGの鈴木氏にお話を伺うロングインタビューの第4弾。今回は巷で噂になったあの話の核心を突きます。

-- ところで、9月30日の鈴木さんのブログで巷を騒がせた初音ミクBMWの売却発表ですが、なぜ最終戦を待たずに売却発表をされたのですか?

鈴木「皆様を驚かせてしまったマシンの売却の時期なのですが、どうしてもあの時期でなくてはいけない理由があったんです」

-- 理由と言うのは?

鈴木「レーシングマシンと言うのはレギュレーションさえ合っていれば世界のどこから手に入れてもレースを走れるわけで、特にGT3カテゴリーはほぼ世界共通です。時期的にもてぎ戦の後では世界中で少なくない数の2011年式Z4 GT3が出回ってしまうので、次のステップを考えたら先に売却契約を結んでおく必要があったんです」

-- でもGT300マシンと考えると、そんなに慌てなくても大丈夫だった気もしますが

鈴木「GT3のマシンはGT300だけではなく、ほぼ同じ仕様でスーパー耐久にも出場できるんです。来年のスーパー耐久はST-XクラスがGT3クラスとしてリニューアルされるので、そこにめがけてヨーロッパから中古のZ4 GT3の売込みがかかると読んでいましたから、なるべく早い時期に売却の意思表示をしておくことがスムーズに流れを作ることになると考えたんです」

-- 実際にオファーはあったんですか?

鈴木「一番最初に手を上げていただいたのが、なんとグッドスマイルの安藝社長でした。ただ、チャンピオンを獲ったら買うよと言う雰囲気でしたね。それ以外にも2~3の方々からオファーがありました。それらの方には順番に商談するということで、もてぎ戦が終わるまで待ってて下さいとお願いしてまして・・・」

-- そのもてぎでチャンピオンを獲ってしまった。

鈴木「その後のことは安藝社長のツイッターでもありましたが、安藝社長にお買い上げいただきました」

-- 安藝社長のコレクションがまた増えたってことですね。

鈴木「それこそ、この東京店に展示してある初代Z4も所有は安藝社長なんですよ」

-- そ、そうなんですか?

鈴木「思い出深いクルマなので、ということで安藝社長がチームから購入されたんですね。ただ、置き場所の問題があったので、うちでお預かりしていると言うことになっているんです」

-- マシンの所有がチームから安藝社長に移ってしまったということは、来年は2012年式のZ4 GT3を導入ですか?だいぶ戦闘力がアップしていると聞きますが。

鈴木「その辺りは今の段階では申し上げられませんね。来年のワンダーフェスティバルでの体制発表までお待ちいただくことになります」

 

トップカテゴリーのレースは、レースそのもの以外にも売り時、買い時など様々な戦略や戦術があるのだということを初めて知らされました。こういったことを知っていると、これから冬を駆け巡るストーブリーグの話題にいっそう理解が深まりますね。

それにしてもグッドスマイルの安藝社長、太っ腹です。ご本人はスマートですけど。

(北森涼介)

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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