ニュル・タイムアタックで判ったGT-R とLFAの走りの違いの原因とは?【動画】

日産自動車がGT-Rの2013モデルで、従来の最速ラップタイム7分24秒22を3秒以上上回る7分21秒台を叩き出したそうです。 一方、先日Lexus LFAニュルブルクリンク・パッケージが叩き出した記録は7分14秒64。さて、この2台、走りの違いはどの程度のものなのでしょうか。

早速、両車のニュル・タイムアタック中のオンボード映像で比較検証してみましょう。

2本の動画を同期させて見ると、データどおりLFAが各コーナーで少しずつ早いと共に、LFAのステアリング操作が比較的安定しているように見えるのに対して、4駆のGT-Rが意外に頻繁に「当て舵」していることが判ります。それは一体何故なのでしょうか?

勿論、サスペンションのセッティングや車両の前後重量バランスの違いも有るとは思いますが、それ以上に大きな「理由」が潜んでいそうです。その理由とはズバリ、2車の「車重差」。GT-Rが1730㎏もあるのに対してLFAは以前にご紹介したとおり、軽量素材の多用で1480kgと、何と250㎏もの差が存在するのです。

この差は高速ワインディング走行に於いて大きな挙動差となって現れる事は容易に想像が付きます。LFAより強大なトルクを発生するGT-Rですが車重に消費してしまっているようです。

<諸元比較>
LFA: 571ps/8700rpm、 48.9kg・m/6800rpm          1480kg
GT-R: 550ps/6400rpm、 64.5kg・m/3200~5800rpm   1730kg

大袈裟に言えばヒラヒラ感覚のLFAとの差かもしれまぜん。つまり車重が軽い方が発生する慣性モーメントが小さい分、余計な挙動が少なく、ステアリング操作も安定するという訳です。

GT-R開発責任者で御馴染みの水野氏が「ウチ(GT-R)は量産仕様そのものでテストしているので、特別仕様車でタイムを出すような事には興味が無い」的なコメントが聞かれましたが、確かにLFAニュルブルクリンク・パッケージは高額な軽量素材をふんだんに使用した世界販売僅か50台の限定車。

そもそも比較すること自体余り意味が無いのかもしれませんが、この2台の走行動画を見ると、どちらのドライバーが車両コントロール上の余裕を残しているかが一目瞭然。

やはり、軽量化がスポーツカーにとって如何に重要なファクターであるかが判る一例と言えるのではないでしょうか。

こちらも併せてお読み下さい。 https://clicccar.com/2011/10/03/66647

(Avanti Yasunori)

【画像がすべて見られない方は>>> https://clicccar.com/2011/11/17/81963/

この記事の著者

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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