「エネルギーミニマム」と「快適な空間と優れた使い勝手」の両立がプリウスαの真髄です【新型トヨタプリウスαのすべてを読んで/開発ストーリー編】

「21世紀に間に合いました!」という鉄腕アトムのCMが、まさに世界初ハイブリッドカーの初代プリウスでした。あのCMからもう14年も経つのですね。
いまだに世界中のメーカーが、ハイブリッドの商品化に悪戦苦闘していますから、いかにプリウスのメカが、画期的な技術であるかがうかがえます。

またトヨタといえば、一銘柄にセダン、ワゴン、クーペ、ハッチバック等の派生車種を展開して、市場を拡大するのが得意なメーカーです。しかしプリウスに限っていうと今まで単一ボディで勝負しており、今回の「プリウスα」が14年目にしてはじめての派生車種になりました。ただし派生車種というと、開発責任者の粥川さんから「プリウスαはブランニューである!」と叱られそうです。確かにプリウスを名乗りながらも、内外装でプリウスとの共通パーツは全くありません・・・と軽く考えていたら、大間違いだという事がわかりました。

そもそも3代目プリウスと今回のプリウスαは、全く別プロジェクトで進行したのだそうです。

プリウスαを開発するにあたり、粥川さんは「ハイブリッドだから特別なものというのではなく、・・・お客様の広い要望に応え、自然に選び使って頂けるクルマでなければいけません。」とコメントしているとおり、「ハイブリッドは、もはや普通のクルマたるべし!」と考えています。
また「快適な空間と優れた使い勝手とエネルギーミニマム。これがスタートラインでした。」とあるように、「ハイブリッドは手段であって目的ではない!」という信念のもと、まさに21世紀のクルマに求められる「あるべき姿」に立ち返ったのです。

そして日本を軸に置きながら世界市場を展望して、キャビンと荷室を拡大した「5人乗りのワゴン仕様」と今回の目玉である「7人乗りのミニバン仕様」を世に送り出しました。
プリウスαの2つの仕様は、海外市場にも挑戦していきます。5人乗りワゴン仕様は、SUV人気のアメリカへ、7人乗りミニバン仕様は、多定員化がトレンドのヨーロッパで勝負するそうです。特にヨーロッパでは、ハイブリッドは高速巡航燃費でディーゼルに押され気味と聞き及んでいるので、頑張って欲しいと思います。

開発ストーリーを読んで、「3代目プリウスが先進的すぎるくらい精悍なスタイルで登場できたのは、このプリウスαの存在があったればこそ!逆に、プリウスαが21世紀に求められるクルマ造りに徹する事ができたのは、先進的なプリウスがあったればこそ!」と、しみじみ感じました。

プリウスαのクルマ造りの正しさは、この不景気のさなかに国内7~8万台といわれる予約台数や、半年から1年という納期待ちに現れていると思います。
ただですね、現実的な消費者は、プリウスαの「エネルギーミニマム」と同じくらい、「納期ミニマム」と「7人乗りの価格ミニマム」を心待ちにしています。震災影響の中、増産対応でも追いつかないのは重々承知しておりますが、こちらも是非是非お願いします。
(^-^ゞ

(拓波幸としひろ)