突然の2020年「新燃費規制」、その背景にあるものは!?

降って湧いたような感が無きにしもあらずの「新燃費基準」制定の動きですが、遡って調べてみると、経産・国交両省主導による2010年6月28日の第1回有識者会合を皮切りに既にワーキング形式で動き出していたようです。今回「中間とりまとめ」が公開され、国民への「パブリック・アンケート」が経産省HPで実施されており、来年初旬に正式制定される模様。

http://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s304_jidoushanenpi01.html

経産省アンケート募集PDF電子政府情報  (国交省版はこちら

中間とりまとめ案参考資料1参考資料2

今回の新燃費基準の中間取りまとめ(案)は2009年度実績比で2020年度までに24.1%の燃費改善を義務付けるもので、その新基準制定の背景は以下とされています。

「自動車の燃費は、自動車メーカーの積極的な取組及び優遇税制等の効果もあり、着実に改善が図られてきている。一方、「エネルギー政策」や「地球温暖化対策」に占める自動車部門の重要性に鑑みれば、自動車のより一層の燃費改善を促進することが必要である」と。

趣旨は判らないでもありませんが、その根拠には曖昧感が漂っている雰囲気も。と言うのも、日本は既に燃費に関してプリウスなどで世界のトップを走っている訳で何を今更?と感じるのも無理は有りません。決まり文句の「温暖化」も近年では「産業化」が見え隠れしています。

要は今回の動きはどうやら米国が政略的に打ち出した新燃費規制に準じている傾向が強いものになっているようです。 つまりは米国準拠。(米は2016年~2025年で実施)

現行燃費基準が車両重量区分毎の目標達成方式が採用されているのに対して企業別平均燃費基準方式(CAFE方式)に変更するのも米方針同様。

具体的な燃費目標は以下のとおりで、「トップランナー車」を基準に設定した模様。 トップランナー車とは基準年度(2009年度)において、重量区分毎に最も優れた燃費性能を有する自動車のこと。(プリウス等) ヘビーなクルマほど厳しい規制である事に変わり無し。

これを機に益々燃費の過当競争が激化しそうな勢い。CAFE方式とは言え、いつまでもスポーツカーや大型車が甘えている訳にも行かず、何れHVやPHV、EV化への道を辿るのでしょうが、クルマ好きとしてはドライビング・プレジャーが伴っている事が将来とも必要不可欠な要素である事は言うまでもありません。

こちらも併せてお読み下さい。   https://clicccar.com/2011/08/15/51578

(Avanti Yasunori )

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この記事の著者

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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