今までは2ストロークエンジンを使用していた2輪のロードレース125ccクラスですが、世界選手権では2012年からMoto3クラスという名称となり、4ストローク単気筒エンジンの250cc以下というレギュレーションとなります。そこでHRC(㈱ホンダ・レーシング)から登場したのがこのNSF250R。
RS125Rかと思うほどの細身な車体は、一説によると2スト125ccのRS125Rよりラップタイムも縮まるといいます。すでに出力特性比較ではNSF250Rが出力、トルクともに上回っています。
HRCによる最先端のレーシング技術が盛り込まれた車体は魅力的です。エンジンは水冷4ストロークDHOC249ccで、マスの集中を図るため後方に15度傾斜させて搭載されます。
また、オフセットシリンダーなどの技術も盛り込まれており、極限まで速さを追求したモデルであることが感じられます。
エアクリーナーをシリンダーとラジエーターの間にレイアウトするという特許出願中の技術も盛り込まれ、RAM圧加給を採用。マフラーはシリンダー後方から複雑なレイアウトで車体右側に取り回されますが、空気抵抗を考慮し、アンダーカウル内に納める設計となっています。
1976年にデビューしたMT125Rから2009年に生産を終了したRS125Rまで、1万5000台もの125ccレーシングマシンを生産し、多くのレーシングライダーを輩出してきたホンダ。4ストローク化が進んでも、NSF250Rは変わらずレーシングライダーを支えていくことでしょう。その実力が楽しみです。
(千輪 毅)