次世代的EVの使い方を「柏の葉・流山いろんな乗り物町乗り!シェアリング」で社会実験開始

EV(電気自動車)に興味津々の僕は、当然のごとくEVだけでなく次世代モビリティ全体に興味がありますし、また、そうした次世代モビリティがいきる新しい街づくりも気になってしかたありません。

そうした僕の知的好奇心を満たす記者発表会が先日(5月24日)に行われました。

NPO法人「柏の葉キャンパスシティITコンソーシアム(通称称・KACITEC)」が、千葉県柏市と流山市のつくばエクスプレス沿線エリアで「柏の葉・流山 いろんな乗り物 町乗り!シェアリング」の社会実験を6月8日から7月5日にかけて実施するというのです。具体的には、EVのスマート・エレクトリックドライブ(ガソリン車のスマートも運用する)やトヨタ・プリウス、ヤマハの電動バイクEC-03や自転車といった車両のシェアリングと、オンデマンド対応交通システムを統合運用します。利用者はこれらの多様な次世代モビリティを目的に応じて使い分けられるのです。こうした多様な交通システムを利用できるマルチ交通シェアリングは日本で初めての試みとか。

予約などの運用はネットを利用し、車両にはGPS装置を備えるため、社会実験としての運用実績や利用実態の分析・検証も抜かりなく行うとも。

社会実験が行われるのは、つくばエクスプレスの柏の葉キャンパス駅周辺で、東京大学を中心とした幅2km×縦6kmほどのエリアです。このあたりはもともとのどかな田園エリアでしたが、つくばエクスプレス開通と同時に新しく宅地開発が始まったばかりで、交通の便がまだまだという場所です。

そこにシェアリングする車両を置く5か所のポートを設置。「ららぽーと柏の葉」や「流山セントラルパーク駅前」「東京大学柏キャンパス」「柏の葉フューチャービレッジ」「流山市水道局跡地」など、駅前や学校、役所などの要所が選ばれています。

また、そうしたポートまでの移動の足としてはオンデマンド交通であるポート送迎コミュータが用意されています。エリア内約60か所に停留所が設定されており、利用者が携帯端末やパソコンから予約すると、自動で運行計画が設計されて送迎車両が迎えにきます。オンデマンドで運用される乗り合いバスのようなもので、予約状況にあわせて待ち時間の最小化や効率化が図れるというものです。

交通システムは多彩なものですが、運用は統合されているため、利用者が使うのはひとつの予約サイト&ICカードだけ。携帯端末から専用サイトにアクセスして予約。そしてポートに行って、管理ボックスにICカードをかざして認証を行うとロッカーが開きます。中には車両のカギやバイク用のヘルメットが用意されており、それを受け取って利用。返すときもICカードで認証を行って返却。EVや電動バイクの場合は、充電プラグを接続してからの返却となります。

利用料金は、自動車300円/15分、電動バイク100円/15分、スマートサイクル(自転車)100円/60分、ポート送迎コミュータ/無料。社会実験の意味合いもあるためか、非常に安価に設定されていますね。利用モニターは100名をHPで一般募集します。

ちなみに車両の利用は月曜から土曜の朝8時から19時まで。しかも1回の利用は2時間まで。つまり、遠出ではなくエリア内のちょい乗りに限定しているわけです。

エリア限定の利用ならば航続距離に不安のあるEVでも安心して利用できるわけです。逆にいえば、こうした次世代のシェアリング・システムが普及すれば、それにあわせてシティコミューターとしてのEVの導入も進むことでしょう。

現在、EVは普通の自動車と同じような使用方法を前提に航続距離の延長が最大の課題とされています。しかし、今回のような次世代交通システムのワンピースとしての未来もEVには存在しているのです。ですから「航続距離が短いからEVはダメ」というのは視野が狭い考えです。

こうした社会実験を積み重ねることで未来の交通システムが見えてくるはず。興味深く見守っていきましょう。

公式リリースはコチラ>>>  http://www.udck.jp/pr/udck_pr110524.pdf

<鈴木ケンイチ>