「2011 ALL JAPAN EV-GP SERIES」の第一戦「2011 全日本 岡山EV50kmレース大会」の決勝が行なわれました。しかし早朝の豪雨の影響でコースはウェット、さらにレース距離が予定の半分に削減されてしまいました。
全長3.703kmの岡山国際サーキットですから本来であれば14周(つまり51.842km)するわけですが、コンディションの影響から7周に変更(25.921km)。さらにドライバーからコース状況の確認をしたいというリクエストもあり、当初はコースインしてグリッドにつき即レーススタートとなる進行なのですが、グリッドについてから1周ウォーミングアップラップをすることにー。
そのためテスラ・ロードスターが参戦するEV-1(モーター出力100kw以上)クラスだけでなく、EV-2(モーター出力50kw以上100kw未満)クラスの日産リーフ、そしてEV-3(モーター出力50kW未満)クラスの三菱i-MiEVと、全クラスともスタートからゴールまでほぼ全開走行に近い、スプリントレースとなってしまいました。
決勝の模様は、テスラ・ロードスター勢では、プロの黒澤翼選手に対してアマチュアレーサーである井土智洋選手が真っ向勝負を挑む展開が期待されます。テスラ・ロードスターは、Sportというグレードを選ぶと購入時にSタイヤもチョイスが可能です。井土選手は唯一そのSタイヤを装着しているのです。
スタート時から路面は徐々に乾きつつある状態で、プロのドライバーである黒澤選手でも扱いが難しい路面になっていく状況の中、井上選手はSタイヤの性能を発揮して、黒沢選手に挑みます。コーナーでは井上選手が速く、直線では黒沢選手のほうが速い。2台のバトルが続き、一端はトップに立った井上選手でしたが、最終的には黒沢選手がトップを奪い返し、黒沢選手の優勝となりました。
しかしスタート時に真後ろにいた植田正幸選手にパスされていなければ、結果は本当にわからなかったと思います。実はテスラのアキレス腱といえるのがモーターの熱ダレなのですが、井上選手は植田選手をパスするためにほんの少し無理をしてしまったようで、黒澤選手のテスラよりもほんの少し早く熱ダレが始まっていたのです。
レースをするにはまだまだ不確定要素の多いEVですが、レースでの貴重なデータが市販車にも活かされると良いですね。
日産リーフは4台すべてがトップドライバーです。そしてそのうち3台がノーマルという状況でした。そんな中タイヤをBSエコピアからアドバン・ネオバへ変更し、ホイールを軽量のエンケイRS05に換えてきた#3ENDLESS ADVAN LEAFの青木孝行選手は、レーススタート直後こそ様子見をしていましたが、すぐにタイムアップを開始すると他のリーフに対し7秒ほど速いラップタイムで周回を重ねます。
なんと電力残量や熱ダレからペースダウンを余儀なくされた2台のテスラをパスして、見事表彰台の一角に食い込みました。
一方、松田秀士選手、小泉博史選手、山下潤一郎選手が乗り込んだノーマルのリーフは、3台の団子状態が続き、ベストラップも各車2分19秒台を記録しました。同様に三菱i-MiEVの岡田秀樹選手、山路慎一選手も、2分30秒台のベストラップで、電欠することなくレースを終了。
性能をフルに引き出して走らせるトップドライバーの走りはすばらしく、国産EV2車種の実力もしっかり見ることができました。
レースの模様は、後日以下のサイトで動画がアップされる予定です。
スタートでは、イン側4番グリッドにいた元GTドライバーの植田正幸選手のテスラが、一気にアウト側からアプローチし、1コーナーの進入で2番手に浮上しました。
リーフの中ではダントツのトップなのが、エンドレスが仕上げてきた1台。軽量ホイールとハイグリップなタイヤチョイス、見事表彰台を獲得しました。
地味に2台でやり合っていたのが、このi-MiEV2台。山路選手は「全開で、汗かくほど楽しいレースができた」と満足げでした。
(佐藤みきお)