こんなクルマ知ってますか?イケてる日本車を造るなら『温故知新』で!

一部のエコカーを除き、かつてのような勢いがすっかり影を潜めて久しい日本車達。  
このような時こそ、今までに辿ってきた道程を一度振り返ってみる必要が有りそうです。  
昔から  「温故知新」という名言が有るように。

と言う訳で、時計をグルグルッと巻き戻して、高度経済成長期に発売された日本車の秀作モデルを改めて眺めてみたいと思います。

まず最初に下画像。 1969年開催の第16回東京モーターショーに出品された TOYOTA EX-1 です。  超斬新なデザインで、当時の晴海会場で ひときわ異彩を放っていました。

そして EX-1 のデザイン・コンセプトを受けて翌年発売されたのが 初代セリカです。  よく見ると顔の輪郭が似ているでしょう。 当時のCMも 「恋はセリカで」 と大変洒落たものでした。

その美し過ぎる類希なボディデザインは瞬く間に人気となり、’70年代の日本車のヒーローに。
7年間生産された後も 「だるま」 の愛称で今尚、世界で愛され続けています。

で,何が言いたいかというと、40年前にこれだけの車が作れたのだから、今なら当然それ以上の事ができる筈。  もし、それが出来ないとすればその原因は一体何?という事。

個人的にはそれは日本人特有の「国民性」にあるのでは?などと思っています。

どういう事かというと、欧米人が自国の歴史に強い誇りを持っていて、過去の物を大切にしながら、それをベースに新しい物を生み出す文化であるのに対して、日本の場合は 「過去とは字の如く過ぎ去った事であり、振り向くよりもひたすら前進有るのみ!」 といった側面が強いのではないかという事です。

このように新しい物を追い続けるだけのパターンでは長続きせず、ユーザーに飽きられそうになったら直ぐに目先を変えて、また次なるトレンドを探し回るといった正に消耗戦状態。

ユーザーサイドも そのようなメーカーサイドの戦略パターンに流石に気づき始めている訳で、もうそろそろ この負のサイクルから抜け出さないと、お互いがいつまで経っても幸せになれないと思います。

そこで、イケてる日本車を造る方法を提案。 今まで開発した車種の中で人気が有った優れたモデルをベースに新たに進化(深化)させる開発手法を積極的に採り入れる事です。 そう、欧米では MINI や フィアット500、ビートル、マスタング等で普通に実践されている開発手法。

例えばトヨタが現在取り組んでいるFT-86は かつてのカローラ 「ハチロク」の現代版の復刻がそもそものテーマの筈ですが、ネーミングとFRである事以外は何ら関係性が見当たりません。  では無くて、前述の 「名車セリカ 」 を例にとれば、その優れた ボディ・デザインをベースにしてユーザー側にも開発サイドの意図が判り易くて受け入れられ易い形で現代版のセリカを復刻するといった方向性なのでは? という事です。 例えばの話しですが。

他にも日本車には名車と言われる車が沢山有ります。 過去の秀作をベースにすれば間違いなく的外れな車が出来てしまうリスクは少ないでしょう。 そんな発想が有っても良いと思うのですが如何でしょうか。

(Avanti Yasunori )

この記事の著者

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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