プリウスαには従来からのニッケル水素電池と、トヨタ・ハイブリッドカーとしては初めて採用したリチウムイオン電池の2種類が存在します。コスト的には前者が、スペース的には後者が有利という、それぞれの特徴によって使い分けているもので、5人乗り仕様にはニッケル水素電池が、7人乗り仕様にはリチウムイオン電池が採用されています。
ニッケル水素電池は少々スペースを食うものの、とにかくコストに有利なことがメリット。つまり、バッテリーの違いは車両価格にも影響しているはずで、一説にはバッテリーの違いで倍近いコストアップにつながっているというウワサもあり。
もっとも原価レベルでのコストと、実際の価格差は異なる部分もありますが、リチウムイオン電池の7人乗り仕様を購入したユーザーは、どれほどバッテリー代として多めに払っているのかは気になるところであります。
具体的に、同じGグレードで比較すると5人乗りが280万円、7人乗りが300万円の希望小売価格となっています。装備の違いが、3列目シートとバッテリーだけだとすると、シート代とバッテリー差額の合計が20万円になるといえるわけ。
では、この20万円においてシート代とバッテリー差額の比率はいかほどでしょうか。
そこで、3列目シートの有無による価格差を他のクルマで確認してみましょう。
ちょうどいい例として、マークXジオ240をピックアップ。こちらは7人乗りが263万円、5人乗りが247万円となっています。これを単純にシートの差だとして考えると、3列目シートのお代は16万円。
二人乗りのシートだけで16万円というのは高く見えるかもしれませんが、シートだけでなくシートベルトも必要ですから、この金額で妥当だと考えましょう。
そして、3列目シートによる売価のアップが16万円で、これがトヨタのワゴンにおける基準だと仮定すれば、プリウスαにおけるニッケル水素電池とリチウムイオン電池のコスト差は、売価において4万円に相当する違いでしかないってことになります。安すぎる?!
これは数字遊びの計算ですが、それくらいバッテリーの違いによるコスト差を解消するよう工夫されているということ。リチウムイオン電池だから20万円も高くなっている! わけではないのです。
(山本晋也)