【東京-大阪i-MiEVで航続距離に挑戦】完走してわかったこと。

「東京―大阪iMiEVで航続距離に挑戦」お読みいただきましてありがとうございました。「んで、最後どうなったの?」「感動のフィナーレは?」と多数質問いただきました。ごめんなさい、ご報告が遅くなっちゃって・・・

実際には15日(月)の20時にはなんとか戻ってこれました。本当は会社のみんなを玄関に立たせて「おかえりなさ~い!」をしようと思ってたのですが、猛吹雪に断念、渋滞の環八を抜けて帰宅したわけです。

<まとめ> 電気自動車は有用な交通機関か?

実際に走ってみるとさまざまな障壁があったのは事実です。なんせ、東京~大阪制覇はぼくたちが最初だと思いますし。そこでこの経験で感じたことを以下にまとめてみたいと思います。

その① 長距離の場合、実走できる時間が短い(夜間走れない)

さて、2月9日(水)曜日に出発、戻りは14日(月)途中「大阪オートメッセ」の取材期間中を除くと4日間、約1200キロの道のりでした。東京→大阪はまる2日間での走破です。「ずいぶん時間がかかったな」とお思いでしょうが、EVの弱点のひとつ夜に走ることができないのです。

「夜走れない」というのは、夜間に充電できるインフラが整ってないということです。海老名SA、上郷SA、今回お世話になった箱根町役場も24時間体制ですが、中継地点の各ディーラーさんに関しては「営業時間内」になってしまいます。名古屋の三菱自動車熱田店さんは24時間OKとのことでしたが、ほとんどのディーラーさんは防犯や事故防止の観点から24時間の開放は難しいとのことでした。そうしますと実際の稼働時間は正味12時間といったところではないでしょうか。長距離は夜に稼ぐもの、これでは難しいですね。

その② 充電のための時間がかかりすぎる

急速充電に費やす時間はだいたい30分ですが、高速道路上に充電器は少なく、いったん高速から下りて充電をしなければならない鬱陶しさがあります。1時間走って、(充電もろもろに)1時間費やすといったペースでの走行になります。

初日、東京→名古屋約350キロを走るのに12時間かかりました。6回の充電をしましたので「1時間走って1時間充電」×6といった走行パターンです。

その③ 長距離を走る時は冷房&暖房は厳禁

ここも辛いところです。とくに暖房の電気消費量は走行の消費量に匹敵します。要するに暖房つけると航続距離は半分ってことなんです。ぼくたちは、なんとか寒さはしのぎましたが、雨天時などエアコンを使用しないとウインドゥの曇りがまったく解消されず、まさに命がけの運転になりました。

その④ 経済的ではない

ガソリン代がかからないぶんお得な感じがしますが、充電の度に高速を乗り降りしますので、高速代が割高になります。また、東京→大阪の場合、途中で一泊しなければなりません・・・総合的にみると決して経済的とは言えません。

 

ごめんなさい・・・短所ばかりが目についてしまっていますが、EVが「使えねえ!」というわけじゃないんです。現時点でインフラが整備されていないだけの問題なんですよ。ぼくたちは「無理をして」点在している充電網を線でつないで進んでいきました。無理をする分、暖房も使えず、高速道路も最低速度で迷惑をかけながら走り、充電スポットではヒステリーにならざるおえなかったのです。高速道路上のSAに急速充電設備か完備してあれば、先述の4つの問題はすべてクリアー出来るはずです。

簡潔に申し上げると行政がしっかりとインフラの整備をするべきなんですね。急速充電器を導入するには充電器だけでも300万円以上、大きな変圧器など電気設備を整えるにも同じぐらいの金額がかかるそうです。合計600万円以上の設備にイニシャルコストをかけても、「電気を売る」ことが現法律で違法な点を考えると、企業にインフラの負担を求めるのは難しいでしょう。行政さん本気でがんばってください。ぼくたちの珍道中を読んでいただければ、「政府として何をやらなければならないのか」がおのずとわかるはずです。

最後に、今回の東京~大阪の取り組みに際して、ディーラーのみなさまをはじめ、「急速充電サービス」の秋田さん、箱根町役場さん、充電をお許しいただいた「ホテルルートイン磐田」さんなど多くのご厚意によって成り立つことができました。本当にありがとうございました。

 

(テングダンディ)こと小野真人