ガソリン車、燃費日本一とはオレ様のこと【ダイハツ・ムーヴ】

さて「燃費日本一」の座は、どのクルマに輝くのでしょうか?

ダイハツには経済性を追求したエッセ、保守的ともいえるミラ、ムーヴ・コンテ、室内ユーティリティを最大限活用したタントなどが軽乗用としてラインアップされることもあって、ムーヴはより先進的なモデルとして位置づけられています。いわばダイハツのフラッグシップなのです。

なんと燃費は27.0lm/Lと、これまでのマーチを超えてガソリン車カテゴリーではナンバーワンの低燃費を実現しました。

装備面では以前からレーダー・クルーズコントロールを採用したりしています。そして今回、レーダー・クルーズコントロールは全速度対応型になりました。

デザイン的には、ボンネットがフロントウインドウと面一になるモノフォルムスタイルとしています。

ダイハツでは他のモデルにちゃんとボンネットがあり、このフォルムは先進性を表現したムーヴだけの特権ともいえるスタイリングなのです。パーソナル感を強調し、オーソドックスではない方向性を狙っています。タントEXEとは方向性は異なるのですがパッケージが似ていることから、エクステリアを似通わないようにするのにも先進性を感じられるスタイリングが必須のものとなっています。

大きなフロントウィンドゥとウェッジの効いた造形は、リヤシートのパッセンジャーからの視界をも良くします。

ただしサイドビューでは、そのフォルムが前後で極端に高さの異なるドアハンドルにも現れます。ここは普通にデザインすれば、ちぐはぐな印象を与えてしまうものです。しかし、よりウェッジを効かせたキャラクターラインやドアハンドルに微妙につけられた傾斜によってバランスを取っています。

また、根元で大きく切り欠かれたAピラーは、視界のよさに貢献しているにも関わらず強い存在感を持ち安心感を与える効果も持っているようです。このピラー付け根の造形は絶妙で、ボンネット、ヘッドライト、フロントバンパーを作り分けることで、まったく印象の異なるカスタムも成立させてしまいました。

軽自動車は低燃費と思われがちですが、実は重量とエンジンの効率のバランスからいってリッターカーのほうが有利というのが一般論でした。そのために、ボディでは35kgの軽量化、エンジンは徹底したロスの低減を図ったのです。もちろん進化したアイドリング・ストップ機構も採用しています。

エンジンで特徴的なのは、EGRの積極利用です。

もともとのEGRは、排出ガスの中の未燃ガスを再度燃焼させてクリーン化させるのが狙いでした。ところがこちらのi-EGRでは燃焼室内のイオンによって燃焼状態を判断して、排出ガスをより積極的に燃焼室に導入することができるようにしたものです。最大のメリットはターボなどの過給器と同様に、吸入や排気のバルブまわしをはじめとするポンピングロスを減らすことができる点にあります。

メカ好きにも“なるほどね”のハイテクを満載して、またワゴンRと対決です。

ということで、現時点での「燃費日本一」は、ムーヴに輝きましたとさ。

(MATSUNAGA, Hironobu)