永久機関!?「アトモス」とは・・・

省燃費や電気自動車の話題が多かったので、ちょっと趣向をかえて「動力のいらない時計」の話を!

「アトモス」とはスイスの高級時計メーカー、ジャガールクルト社の置時計です。時計が好きな方ならご存知だと思いますが、ジャガールクルト社はスイスの10大高級時計メーカーのひとつで、「マニファクチュール」と呼ばれる、ムーブメントを自社生産している数少ない名門時計メーカーです。(ロレックスやオメガとは格が違います)

この「アトモス」ですが、クオーツでも手巻きでもありません。実はムーブメントの中にあるアコーディオン型のカプセルに密封されたガスの気温差による膨張&収縮でゼンマイを巻く仕掛けになっています。室内の気温が1度上下動するだけで、約48時間分のエネルギーが蓄えられる構造になっているのです。

つまり、室内の環境であれば永遠に動き続けることができます。ここが「半永久機関」と呼ばれるゆえんですね。ムーブメントの振動数も1分間に2回と非常にゆっくりとしていて、耐久性は腕時計の300倍と、こちらもほとんど半永久的に使用することができます。構造上、オイルを使っていませんので、基本的にオーバーホールも必要ないそうです。

ちなみに写真のモデルは「ムーンフェイズ機能」が付いていますが、こちらの精度は驚くべきことに3821年に1日の誤差です。自分から130代目の子孫に誤差の調整を引き継ぐため、月齢をセットする工具を入れた専用ケースが付属で付いてくるそうです。なんとロマンチックなのでしょうか!100年ごとに自分の子孫へのメッセージカードが格納できるモデルもあります。

この「アトモス」は人類史上もっともエネルギーを消費しない機械だそうです。

エコロジーに配慮したとされる工業製品、とくに車も含めてですが、いちばん環境に負荷を与えるのが「大量生産、大量消費」なんです。そんな中、この「アトモス」はいろいろな意味で「考えるヒント」になるような気がします。

(テングダンディ)