IMAシステムを採用するホンダのハイブリット車「IMAファミリー」は、国内では①フィット②フィットシャトル③インサイト④CR-Z、そして今回発売開始した⑤フリード⑥フリードスパイクの6車種が該当します。
車種毎にエンジン排気量やミッションの組合せを変えて、2人乗りのスポーティーカーから7人乗りのミニバンまで幅広く展開している訳ですから、IMAシステムの変化振りは本当に見事だと思います。
中でも特にミニバンの場合は、背を高くして室内空間を拡大したり、スライドドア等の使い勝手を優先した造りになるため、空力でも重量でも燃費には不利な要素ばかり。便利さのトレードオフとして、どうしてもガソリンを余分に消費せざるを得ませんでした。そこでインプレッションに「広さはそのままに、エコ度をアップ!」とあるとおり、フリードのハイブリッド仕様では、燃費性能に磨きをかけてきたのです。
1500ccのIMAシステムでは、パワーよりもトルクを太くするとともに、モーターアシストをしっかり効かせることで、低回転域でも重いミニバンボディを快適に走らせるように仕立ててきました。そしてフリードハイブリットは、ガソリン仕様の17km/lに対し24km/l(10.15モード)を達成しました。この燃費は、フィットの1300ccガソリン仕様と同等の値ですから、きっとガソリンの減りにくさを実感できると思います。
ただもちろんホンダが、ハイブリット化で燃費だけを追いかけるはずがありません。広さや使い勝手でも、ガソリン仕様と同等レベルを実現しています。走りでも、常用速度域での低回転化に伴い静粛性を大幅に向上させると共に、インプレの通り「低重心化の利点が活きる良好な乗り味とハンドリング」をしっかり造り込んでいます。
フリードのトップグレードとして、燃費と使い勝手と快適性を高い次元で達成したのが、ハイブリット仕様の特徴だといえるでしょう。
ちなみにガソリン仕様のインプレには、「運転好きならば非ハイブリットを選択する、という手も大アリだ」とあるとおり、軽快さとキビキビ感が持ち味となっています。エンジンを回してパワーを引き出す走りも楽しめると思います。
販売速報を見ると、発売開始2週間で約2万台も売れ、その内ハイブリットは6割以上の割合を占める大ヒットをかっ飛ばしています。「フリードか、スパイクか!」「ハイブリットか、ガソリンか!」どの組合せも個性明快だから、選ぶ楽しさもまたひとしおですね。「サイコーにちょうどいいホンダ」の躍進は、当分の間続きそうです。
(拓波幸としひろ)