トヨタカムリのデザインは北米と日本で別物! トヨタ兄弟車戦略の北米モデルとグローバルモデルの造り分けとは?【新型カムリのすべて/デザイン編】


昔からトヨタは兄弟車戦略が得意で、マークⅡ3兄弟やアルファード/ベルファイア等で大成功をおさめています。顧客のニーズをきめ細かくとらえて、市場を拡げるのが上手いですよね。
思い起こせばカムリの前身の「セリカカムリ」も、当時FRセリカとカリーナの兄弟車として登場しました。もっともカリーナのグリルやランプ類を代えた程度だったので、あまり成功しなかったようです。

そしてトヨタは国内で培った「顧客のニーズに合ったきめの細かい造り分けのノウハウ」を、世界規模でも展開してきました。
今回のカムリでも、各国のニーズに合わせ「北米モデル」と北米以外の「グローバルモデル」を造り分けてきたのです。
ちなみにここでの主役は、日本を含む「グローバルモデル」になります。

デザインコンセプトは「ニューERAセダン」、エモーション(感性)なデザインを狙いつつ、ラショナル(合理性)を追求するという方向との事。

ただ兄貴分の北米モデルがベースで、キャビンとドア、リアフェンダー等を共用するため、変更箇所はフロントとリアセッションとなっています。そこでメッキを多用したボンネットやグリル、開口部が大きいバンパー等で高級感を表現し、北米モデルとは全く別物のデザインに仕立ててきました。

一方インテリアは、両モデルで全く異なるデザインを採用している?と思いきや、下側パーツをしっかり共用している所はさすがです。
特に感心したのは、インパネに本物のステッチ(縫い目)を入れて高級感を演出している事です。また遠目では濃いブラウンの木目調を、近目では幾何学的な深いカーボン柄を見せるサイバーカーボンパネルが、シルバーのコンソール枠との対比で、実にモダンな深みを感じさせてくれます。

更にインテリアデザインと設計が合同で、骨組みだけの「スケルトンモデル」を造り、隙間空間を泥臭く削って、室内最大化を検証したとの事。カムリの広々感は、元々広いだけではなく、天井や内装の寸法調製の積み重ねなのだそうです。

カムリのグローバルモデルでは、日本の御家芸である「きめの細かい高級な造り込み」が随所にかつ存分に行われていました。
また北米モデルとグローバルモデルの見事なまでの造り分けは、トヨタ兄弟車戦略の真骨頂だと感じます。

どちらが多く売れるのかな?実を言うと弟分のグローバルモデルが、兄貴分の北米モデルを越える日が、以外と早く来るような予感がしています。

(拓波幸としひろ)