ダイムラーとBASFのドイツ連合が開発した全身で発電する自給自足のEV?

まもなく、フランクフルトモーターショーで公開される『スマートforvision』。

このEVコンセプトは、スマートという名前からもわかるようにダイムラーの手によるものですが、単独ではなく世界最大級の化学メーカーであるBASF社と共同開発したというもの。

 

 

 

そのポイントは3つ。

・エネルギー効率

・軽量設計

・温度管理システム

 

エネルギー効率においてのトピックスは、ルーフを太陽光発電のスペースとしたこと。

それも、太陽光パネルを敷き詰めるのではなく、有機化学物質を塗布することで、太陽光発電を可能にしているといいます。この方式であればデザインの優先度、車体と太陽光発電のフィッティングの問題をクリアできるというもの。

さすがに走行できるほど発電能力は持たないようですが、将来的に自給自足で走行できる可能性があると思うだけで夢が広がります。

 

軽量化については車体のあちこちを強化プラスチックに置き換えているのがポイント。

とくに注目なのはホイール。この大径ホイールはオールプラスティック製で、アルミなどで作るのに比べて30%の軽量化を実現しているといいます。

 

そして最後に温度管理。

EVの航続距離において空調が使う電力を抑えることが有効なのは知られていることですが、このコンセプトカーではポリマーフィルムや絶縁体などを利用することでキャビンの温度を適切に管理。それによって空調を最小限に抑えることを可能にしたといいます。

 

自分自身で発電するための新しいソリューションと、航続距離を伸ばすための二つの新技術が詰め込まれた、まさにEVコミューターの未来像。

 

ともにドイツに本拠を置く、自動車と化学のトップメーカーが手を組んだ一台。これは見逃せません。

 

(山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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