車検やカスタマイズで避けて通れないのが「道路運送車両の保安基準」、略して「保安基準」です。ちょっとでもクルマいじりに興味を持ったり、市販のカー用品の取り付けを自分でやろうとすると、とくにエクステリアや灯火類では頻繁に「保安基準に違反しないよう云々」という注意書きを見かけますよね。だけどこの保安基準、具体的にどんな内容で、どんな規定が盛り込まれているのか、ほとんどの人は知らないし、目にしたこともないと思います。でも、知りたいでしょ?
その全文をPCで閲覧できるシステムに、じつは国交省のホームページから誰でもアクセスできるんです。ところが実際に見てみると…ガクゼン。その実態とは??
まず、以下が国土交通省、自動車関連のホームページのアドレス。
http://www.mlit.go.jp/jidosha/
ここのメニュー中央の3段目「自動車ユーザーのみなさまへ」とある中に、小さく「保安基準等」の文字が…。なんとも控えめな位置付けですが、ここをクリックすると別メニューに飛ぶのではなく、いきなりPDFの表示画面、またはPDFファイルのダウンロードへと移行します(クリックでどう遷移するかはPC環境によって違う)。
いよいよ保安基準とのご対面。PDFを開くと上のトビラページ、次のページから保安基準とその細目(補足的な規定)の告示、技術基準の名称等と並んでいます。このうち条文や記号などがマウスでクリックでき、別ファイルにアクセスする作りになっているんですが、いきなり面食らうのがどの部位や機構も一般ユーザーにはあまり馴染みのない呼称だらけなこと。
たとえば第10条の「操縦装置」と第11条の「かじ取装置」。どちらかがハンドルについての規定だと推測できますが、クリックして条文を見るまでわかりません。ちなみに、この場合「操縦装置」はハンドル以外のスターターやウインカーなどのスイッチ類の取り付け位置で、「かじ取装置」がハンドルとなります。
以下、すべてが万事この調子。しかも、クリックで開いたそれぞれの条文がまたスゴイ。
この文章、ササッと読んだだけでは理解できないし、じっくり読んでもいまいちわかりません。よく法律の条文は「悪文の見本」なんていわれることもありますが、これは内容に正確を期するあまり、日本語として「?」な文章になっている典型例といえます。もしも私のようにモノ書きを商売にしている人間がこんな文章を書いたら、どこからも仕事が来なくなっちゃいます。
だけど、車検場の検査官やカー用品メーカーのスタッフの多くは、この文章を一生懸命読み込んで理解したうえでクルマの検査をしたり、安全なカー用品の開発に精を出しているんです。まったく頭が下がるというほかありません。
ちなみに、保安基準の「細目を定める告示」を見ても、まったく同じ。
こうなると、保安基準を正しくカンタンに理解するための解説本が欲しくなります。そんな本はこの世にあるのかって? それがあるんですよ。すごくマイナーだけど。どんな本かは、次回の記事でご紹介するのでお楽しみに!
(まるほ商会)