レクサスから「Lexus International」へ。体制もクルマ作りを変えて生まれた初のモデルがレクサスISです。確かにGS以来のスピンドグリルを採用した新しい顔をレクサスISも引き継いでいますが、新組織下での初のフルモデルチェンジ車ですから期待は高まります。
今回試乗したのは「IS300h F SPORT」。ハイブリッドでしかも「Fスポーツ」ですから、3.5L V6のシルキーかつパワフルなあの加速フィーリングには及ばないものの、モーターアシストの加速と23.3km/LのJC08モード燃費が得られるのですから、かなりの人気グレードになることは明らかでしょう。価格はオプションなしで538万円です。
蛇足ですが、広報車を受け取ったその日の朝刊に、「プリクラッシュセーフティ」絡みのリコールの記事が出ていたので、おそるおそる担当者の方に伺うと、前日夜遅くまでかかったが改善済みですとのお返事が。さすがです。
街中からスタートすると、非常にスムーズな乗り心地と静粛性の高さにまずは驚かされます。新しいレクサスGSにもプレス試乗会でほぼ複数のグレード乗っていますが、足の動きはGSと同等かそれ以上にも感じます。
しかも、硬派な「Fスポーツ」ですからより感心させられたのですが、電子制御による可変サスペンション「AVS(Adaptive Variable Suspension System)」が効いているのか、微入力をほぼ抑制しているだけでなく、大きな凹凸を乗り越える際もダンパーがしっかり働きつつボディの動きも一発で収まるという、簡単そうで非常に難しい乗り味を提供してくれます。
178ps/221Nmの直列4気筒「D-4S」はクラウンでも体感済みで、モーターの143ps/300Nmも同じ。エンジンとモーターにより発揮できる出力(システム全体)では単純な足し算ではなく220psということですから、数値どおりのパワーフィールという印象です。そう、「Fスポーツ」というイメージの割にあまり速さは感じさせません。でも、これはドライブモードが「ECO」か「NORMAL」時の場合。
パドルシフトでギヤを落とすか、ドライブモードを「SPORT S」もしくは「SPORT S+」にすれば、暴力的とまではいかなくても必要十分以上の加速感を得られますし、シャーシも一段と引き締まり、シャープなハンドリングを楽しめます。
しかし、基本的には上質志向。これが新生レクサスISハイブリッドの進化、真価を感じさせる点で、イザという時にスポーティな走りも楽しめるというのは、欧州のライバル車たちと同様に、本物がもつ味わいといえるかもしれません。
性能評価によるトヨタらしい「オール80点主義」から頑張って脱却し、構造用接着剤を使ったボディ剛性向上を狙うなど乗り手の感性にも響く85〜90点を狙った、そんな数値には表れない良さも存分に感じることができました。
(塚田勝弘)