話題の超小型モビリティが「超小型車」として神奈川県で初認定! 公道ではスクーターの強力ライバル?

国土交通省は6月14日、神奈川県が申請していた「超小型モビリティ」を全国で始めて認定しました。この認定制度は地方自治体や自動車メーカー等の関係者が先導導入を行えるよう、一定の条件下で公道走行を可能とする為のもので、認定は地方運輸局長が行います。 

 出展 国土交通省

公共交通機関の少ない地方や観光地で有力な移動手段とされており、今回の認定は「超小型モビリティ」の本格普及に向けた第一歩となります。

同省は「超小型モビリティ」を環境に優しく、人口減少・高齢化時代に対応するコンパクトな街作りに適した新たなカテゴリーの乗り物と位置付けており、開発・普及を推進しています。

既に神奈川以外の2県からも申請が出ているようで、一定の安全性を満たしているかを確認出来次第、順次認定する見通しとか。 

ちなみに「超小型モビリティ」の定義は軽自動車よりコンパクトで小回りが利き、環境性能に優れ、地域の手軽な移動の足となる1人~2人乗り程度の車両を指します。  

以前にトヨタの1人乗りEV「COMS」をご紹介しましたが、今回初認定されたのは日産自動車の前後二人乗りのEV「日産ニューモビリティコンセプト」。 

日産ニューモビリティコンセプト

同社がアライアンスを組むルノーの「Twizy(トゥイージー)」がベース車で、2010年のパリモーターショーで発表され、その後、欧州では既に約8,000ユーロで発売されているモデル。 

シャシー開発は「ルノースポール」が担当しており、100kgのバッテリーを前後アクスル間フロア上に搭載している為、見た目よりも実際には低重心で、硬目なサスペンションと相まって車高が高い割にはコーナリング時のロールは殆ど無いと言います。 

ルノー Twizy

スクーター感覚の乗り物で、標準仕様ではドアが無く、オプション扱い。さすがに雨天時や真冬の運転ではドアは必須と思われます。 

最高速度は80km/h。6.1kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載しており、航続距離は約70km辺りが実力のようですが、家庭用電源でのフル充電時間が3.5H程度と短いため、近距離での使用なら殆ど問題は無さそう。 

今後、UR都市機構が7月から神奈川県、及び日産自動車と協力しながら、横浜市内や横須賀市内のUR都市機構の賃貸住宅巡回管理業務用車両として運行する予定。 

車両価格が約100万円と、決して安価とは言えませんが、生産台数が有る程度見込めれば軽自動車の廉価グレード並みのお値段になる可能性も。(欧州ではバッテリーがリースで、別途月額6000 〜 8000円が必要とのこと) 

フルサイズのEV普及が足踏みする中、海外では「サブAセグメント」として今後10年間で大きな成長が見込まれている模様。 

ルノー Twizy

ドライバーの高齢化が進む中、自動車メーカー各社は近距離移動に便利な超小型車の需要が高まるとみて開発を進めており、一般路での既存車両との共存性など、今後の普及に備えたインフラ面での安全性への配慮についても注目されます。 

■ルノー Twizy 諸元 (参考) 

・車両本体価格:約8,000ユーロ
・車両サイズ:全長2.34m 全幅1.2m 全高1.45m W/B1.68m
・車両重量:474kg(うち電池重量100kg)
・前後サスペンション:マクファーソン ストラット
・航続距離:100km(実力値:約70km)
・乗車定員:2名
・最高速度:80km/h
・最高出力:18ps
・最大トルク:5.8kgm/0-2100rpm
・駆動方式: 横置き後輪駆動
・電池容量:リチウムイオン/6.1kWh
・モーター:交流非同期誘導式
・交流電流最大値:6kW 

■国土交通省 超小型モビリティ導入に向けたガイドライン(PDF)
http://www.mlit.go.jp/common/000212867.pdf 

ルノー Twizy Webサイト  

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 (Avanti Yasunori) 

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この記事の著者

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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