電車とバスのハイブリッド! 道路もレールも走れるDMVを知ってますか?

JR北海道が過疎地のローカル線向けに開発を進めてきたのがDMVってご存じですか?
DMVとはDual Mode Vehicleの頭文字をとったもので、線路と道路ふたつのモードで走行することが可能な車両を意味し、JR北海道の柿沼副社長が幼稚園の送迎バスを見て発案したものです。

DMVはJRの線路上を走行することで交通渋滞による遅延を解消するとともに、道路モードで駅から離れた集落を結ぶことによって地域の公共交通機関を確保するという狙いがあります。

JR北海道は2004年にマイクロバス日産シビリアンを購入して、線路走行用のガイド車輪システムを追加した「サラマンダー901号」を試作しました。

901はJR北海道苗穂工場内にある、鉄道技術館に保存されています。鉄道技術館は毎月第2、4土曜日の13時30分〜16時に一般開放しています。

フロントガイド車輪は本来フロントタイヤを浮かせて使用します。車軸ディスクブレーキも装備されているようです。

リヤガイド車輪にもディスクブレーキを装備。

駆動輪はバスの後輪をそのまま使用します。ただし滑りやすいレール上を走行する際のトラクション性能を確保するためにスタッドレスタイヤを採用。

サラマンダー901号での試験の後、2005年には連結することが可能な第2次試作車910号、911号を製作。石北本線で実証実験が行なわれました。

2006年には岳南鉄道に貸しだして実証試験を行なったほか、2007年から釧網本線で試験的営業運転を実施しました。

2008年には第3次試作車920号を製造。

920号からトヨタが協力することになり、ベース車もコースターになりました。

920号は2008年の洞爺湖サミットに出展。その後若干車体サイズを小さくした921号が登場。2009年には明智鉄道で実証実験を行なっています。

一見いいことずくめのようなDMVなのですが、レール上のトラクション不足、タイヤの偏摩耗、車体が軽いための積雪路での脱線の懸念、軽油取引税(バスは目的税、鉄道は無税)などの課題があります。その一方で2007年に新地域旅客運送事業としてDMVも認定されており、今後の発展も期待されています。

そんなDMVですが、毎年開催されているJR北海道苗穂工場一般公開イベントで試乗することができるようです。

モードチェンジのギミックって実際に見てみると面白いものですね。
(ぬまっち)

この記事の著者

ぬまっち(松沼 猛) 近影

ぬまっち(松沼 猛)

1968年生まれ1993~2013年まで三栄書房に在籍し、自動車誌、二輪誌、モータースポーツ誌、鉄道誌に関わる。2013年に独立。現在は編集プロダクション、ATCの代表取締役。子ども向け鉄道誌鉄おも!の編集長を務める傍ら、自動車誌、バイク誌、鉄道誌、WEB媒体に寄稿している。
過去に編集長を務めた雑誌はレーシングオン、WRCプラス、No.1カーガイド、鉄道のテクノロジー、レイル・マガジン。4駆ターボをこよなく愛し、ランエボII、ランエボVを乗り継いで、現在はBL5レガシィB4 GTスペックB(走行18万km!)で各地に出没しています。
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