なんと年間チャンプ車は昨年モデルベースだった! GT300チャンプ初音ミクBMW、エントラント代表StudieAG鈴木社長に訊く その1【痛車 スーパーGT】

今年、劇的な逆転でGT300のシリーズチャンピオンを獲得した初音ミクグッドスマイルBMW。

このチームのエントラント代表として、またマシンの手配やスペアパーツの確保などテクニカルの部分も含めてチームを支えてきたStudieAG社長の鈴木康昭氏に、初音ミクBMWのこと、そしてStudieAGというショップのことについてお話を伺ってきました。

-- まずは今年一年、本当にお疲れ様でした。今年の初音ミクBMW、あのZ4は本当に強かったですよね。

鈴木康昭氏(以下 鈴木)「本当に強かったですよ。JAF-GP特別戦の時の番ちゃんのストレート、あれってスリーワイドにもならないような、本当にブチ抜きって感じでしたからね」

-- 昨年の六本木で行われたグッドスマイルレーシング個人スポンサー対象の忘年会でグッドスマイルの安藝社長が「来年はZ4で」と仰ったあの瞬間って、鈴木社長は今年の成績を予想できましたか?

鈴木「昨年のレースを終わって今年の話をしているとき、安藝さんに来年はBMWで、って言われたんですよ。GT300に出場できるBMWはZ4のGT3しか選択肢が無かったので、正直に言うとかなり不安でした」

-- 不安とは?

鈴木「2010年のZ4は、ヨーロッパだとかなりトラブルが続いていて信頼性がまるで無かったんです。僕らが使ったZ4は2010年モデルの最終型で、それらのトラブルを全部潰していったモデルだったんで信頼性については問題なかったとはいえ、ねぇ。」

-- あのZ4って2010年モデルだったんですか?

鈴木「下手に2011年モデルに手を出すよりは、2010年の熟成した最終型のほうがまだ安心出来るということで」

-- 震災で岡山の日程が変更にならなかったら納車も結構ぎりぎりでしたよね。

鈴木「おかげで今年はうちのチーム、あまりテストらしいテストも出来ませんでしたし」

-- でも5月の富士ではいきなり5位。セパンでは優勝。誰も予想してなかったのではないですか?

鈴木「富士であの土砂降りを走って得た感触で、晴れたらこのクルマはすごいぞ、とはチームの共通の意識としてあったんです。セパンでは思いっきり晴れましたからね。番ちゃんも頑張ってくれたし(笑」

-- 晴れたらすごいぞ、とはあのZ4のトルクのおかげでしょうか?フェラーリやランボルギーニのほうが排気量が大きいと思うのですが。

鈴木「常用回転域をどこに持ってきているかでしょうね。BMWの特性として中回転が強いですから、そこら辺でフェラーリよりもトルクが出しやすいのだと思いますよ」

-- ところで、BMWということで考えると1984年のJSPC、BMW M1以来27年ぶりのチャンピオン獲得です。

鈴木「僕の大好きなBMWでチャンピオンが獲れたということは本当にうれしい。それも特別戦込み、全部で5勝も上げたのですからほんとうにうれしいですよ」

-- 時期的に来年の目標をうかがっても差し支えないですか?

鈴木「正式な発表は来年のワンダーフェスティバルで行いますが、すでに安藝さんも来年はやると発表していますし、今年の体制のまま維持できるのであれば、個人的には前人未到のスーパーGT二連覇を目指したいですね。来年のレギュレーションはGT3マシンに随分やさしくなっていますから」

 

あれだけ強かった初音ミクZ4が、マシン選定の段階では誰も強いと思っていなかったと言うのがかなり面白いですね。最新の2011年モデルではなく、出まくったトラブルを潰しきった2010年モデルの最終型を堅実に選択したのがBMW一筋の鈴木社長の目と言うことなのでしょうか。

ロングインタビューはまだまだ続きます。次回はStudieAGをオープンするきっかけについて伺います。これもとんでもないドラマがありますので乞うご期待。

(北森涼介)

この記事の著者

松永 和浩 近影

松永 和浩

1966年丙午生まれ。東京都出身。大学では教育学部なのに電機関連会社で電気工事の現場監督や電気自動車用充電インフラの開発などを担当する会社員から紆余曲折を経て、自動車メディアでライターやフォトグラファーとして活動することになって現在に至ります。
3年に2台のペースで中古車を買い替える中古車マニア。中古車をいかに安く手に入れ、手間をかけずに長く乗るかということばかり考えています。
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