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●3つの200という数字を大きく打ち出してきた「HyperSport HS」
今年のはじめに突如発表され、電動バイク界隈の話題をさらったのがカナダを拠点に置くDamon Motorcycles。
元々は360度カメラや電子式シート高・ハンドルバー・ステップ調整など補助的な機能を開発し、それをメーカーへと卸す目的で活動をしてきた電動バイク関連メーカー。2019年後半に今は亡きAlta Motorsのパワートレーンを担当していたスタッフを招き入れると一気に車両開発へと弾みをつけ、車両メーカーとしてデビューしました。
200馬力、200マイル(最高速度)、200マイル(航続距離)という3つの200という数字を大きく打ち出してきたDamon MotorcyclesのHyperSport HS。
注目すべきは最高速度ではないでしょうか。
電動モーターは回転が始まるとすぐに最大トルクを発揮しますが、馬力に関してはガソリンエンジンと比べると出力を出しにくい機構です。それゆえ電動バイクで最高速というのはガソリンエンジンよりも困難です。最大出力が160kWというかなり大きなモーターを搭載したことで達成した素晴らしい数字です。
またモーターの高出力化で問題になるのはモーターとバッテリーの発熱です。これは車両の寿命に響くだけに、どこまでの制御をしているのかが重要です。
航続距離については200マイル(320km)なので、すでに市販されている他の電動バイクでも出している数字ですが、バッテリー容量21.5kWhにレベル2急速充電対応と、今後のスタンダートになるすべての要素を備えています。
そして何よりもこの車両の魅力はその機能です。
●未来の機能がついに公道に「CoPilot™」
車両の周り360度を監視することで危険が迫るとライダーにハンドルからの振動とスクリーンのLED、更にリアビューカメラで警告。ライダーが気づく前に危険を察知することで事故を防ぎます。これはテスラにも独自の技術で搭載されている機能ですが、テスラの危険察知をYouTubeの動画を見るとかなり正確に危険を機能しています。Damonの機能にも期待です。
●「SHIFT™」
ボタンを押すだけでハンドルバー、シート、ステップの高さを調節することができます。またスクリーンの角度も変えることができるので、街中での走行用からサーキットでの走行用にとライディングポジションを簡単に変えることができます。
●「クラウドネットワーク」
4G回線を使い車両やライダーの走行情報をクラウドにアップロード。ライダーが走れば走るほどライダーの走行特性に合った調整が行われるだけでなく、他のライダーとも情報を共有。走行特性や危険の情報などを共有することで情報が集まり、更に精度の高いアップデートが車両に行われます。
現在、北アメリカでの販売とサービス予定。価格は現地でUS$24,995(約275万円)。
この性能と機能、先進性を考えれば高級スポーツバイクを買うか、Damonを買うか、嬉しい迷いになりそうでう。実際に購入後のメンテナンスやガソリン代などを考えると3年も持てばDamon HSの方が割安になりそうです。(注:現在日本ではこのクラスの電動バイクでも車検が必要ありません)
サービスは提携のディーラーに加えてバンで自宅まで来てくれるなど、これもまた次世代モデル。このディーラーネットワークとディーラーの知識が電動バイク普及の鍵になりそうです。これはすべての電動バイクに言えることで、今までのガソリン車両とは違った知識が必要となります。ディーラーも長期の計画で人材育成を考えて参入を検討すべき時期になってきています。
日本でも今年から海外の車両が色々と入ってきそうです。新しい技術には常に困難がつきまといますが、今から始めておくことで電動バイクの普及が始まったときに対応できるということが大きなアドバンテージになると思います。
【スペック】
加速:0-100k/h3秒
航続距離:320km以上(高速+市街)
充電時間:レベル2で3時間以下
カメラ:前後HDカメラ
ホイールベース:139.7cm
フロントタイヤ:17インチ120mm
リアタイヤ:17インチ 200mm
フロントブレーキ:デュアルローター320mmディスク
リアブレーキ:シングルディスク
シート高:最大81.28cm(Shift™機能で調整可能)
重量:200kg以下
モーター:最大出力160kW
バッテリー:21.5 kWh
保証:2 年
サービス:Damonサービスセンター、提携ディーラー、バンでの訪問
価格:24,995US$(約275万円)