●現在、最も割安感があるポルシェ911がこの996型
今、振り返ると1998年〜2004年に日本市場で販売された第5世代の996型ポルシェ911は意欲作であり、革新的だったと思われます。
その理由としてまず挙げられるのが、水冷エンジンの採用です。993型と呼ばれる第4世代まで911は伝統の空冷エンジンを搭載していましたが、車体の変更とともに911初となる水冷エンジンを採用したことです。
そして、従来の911は丸型のヘッドライトを採用していましたが、涙目型のヘッドライトを採用しています。これはボクスターと共通の部品を多く採用していたことが理由となりますが、後継車の997型では丸型のヘッドライトに戻されていることを考えると911ファンに受け入れられたとは言えなかったと言えるかもしれません。
996型911は2002年にマイナーチェンジを行い、ヘッドライトも911ターボと同じ形状に変更されると同時に内外装も変更されています。また、ボディ補強が行われ前期型よりねじり剛性などが向上しています。
搭載されているエンジンはカレラ系の前期型は最高出力300psを発生する3.4L水平対向6気筒自然吸気で、後期型は320psを発生する3.6L自然吸気エンジンです。ターボ系は3.6L水平対向6気筒ツインターボ。GT系はGT3/GT3RSは3.6L自然吸気エンジン、そしてGT2は3.6Lツインターボエンジンを搭載し、当時はRRの2WDでした。
現在、996型911の中古車は約155台流通していて、多少の増減はあるものの、だいたい150台付近をキープしています。中古車の走行距離は直近3カ月の間、約6.5万〜6.6万kmで小幅な動きとなっています。
中古車の平均価格の推移は3カ月前が約313万円で、年式が古くなることで、年明けから値落ち傾向が強まり、現在は約305万円となっています。しばらくはこの付近で停滞するのではないかと考えています。
996型911の中古車の価格帯は、約155万〜約2680万円と非常に幅広くなっており、100万円台のプライスを付けた中古車が約31台もあり、現在最も手に入れやすいポルシェ911となっています。
中古車のグレード構成を見てみると、カレラ ティプトロニックSが約55台と最も多く、カレラ4S ティプトロニックSが続きます。そしでターボティプトロニックSとGT3が約16台で並んでいます。
996型911の中古車はGT系の高額モデルとカレラ系の割安な中古車の二極化が進んでいると言えます。
(萩原文博・写真:ポルシェジャパン)