爆音に「闇カンファレンス」。カオスすぎて日本人としては驚きの連続【デリーモーターショー2020取材記・後編】

●みんな本気。だから殺伐とした空気に!?

初インドへモーターショー取材に出かけた、ライター・工藤。実際の開催は公式サイトの事前情報よりも1日早く始まるし、モーターショー会場の入り口はセキュリティチェックがあるだけでなく、兵士が銃口をこちらに向けてスタンバイしている。どんでもないところへきちゃったなあ……。

そんな前編「入場口へ向けられた銃口。開催日程が公式ウェブサイト違うなんてアリ?」に続いて、後編いきます!

殺伐とした……どころか報道陣同士の本気のケンカまで勃発した「マルチスズキ」のプレスカンファレンス。波乱に満ちた記者会見が終わって違うメーカーのブースへ移動しようと思ったら、受付カウンター周辺が大混雑。何かを配っているわけでもないのにピーンと張りつめた空気になっている。どうして?

なんでみんな殺気立ってる?

インドモーターショー取材歴が長い情報通によると、資料(基本的に公式サイトで確認できる)とともに配られる記念品をもらうために、資料配布待ちでプレス関係者が殺到しているとのこと。しかも、記念品といってもボールペン程度の小物らしい……そこに群がってないでちゃんと取材しなさいって。

こちらは「タタ」ブース

ところで、いくつかのブースのプレスカンファレンスに参加して気が付いたのは、どこも音楽のボリュームが大きいこと。

いや、大きいなんてものじゃない。大きすぎだってば。もはや騒音公害のレベル。そんなに大きな音じゃなくても十分に聞こえるし、むしろうるさすぎて耳をふさぎたくなってくるんですけど……(同行した日本人ジャーナリストの某氏が耳をふさいでいたのはここだけの内緒)。

どうやらインドのイベントごとは、音が大きいほどみんなが盛り上がる(と思っている)文化らしい。決してそうじゃないと思うけどね。

みんな真剣

そしてインドでビックリしたのは、おなじメーカーのプレスカンファレンスが複数回おこなわれること。普通だとモーターショーのプレスデーにおけるプレスカンファレンスは1つのメーカーが1回。でもデリーモーターショーでは初日と2日目にわけて複数回やるところがたくさんあるわけ。

とあるメーカーは初日にコンセプトカーを公開して翌日に市販車の最新モデルを発表とか、別のメーカーは初日がSUVで2日はモータースポーツ車両と電気自動車とかっていうパターン。1回にまとめればいいのに(取材が効率よくなるのに)……と思うのは、取材するこちら側の勝手な意見ですよね。わがまま言ってすみません。

わかってますよ「郷に入れば郷に従え」なんだって。そうですとも。

やっぱりインドでもキレイなおねいさんがいます。

でもこの際だからハッキリ言わせてください。

「公式スケジュールに書いてないプレスカンファレンスはやめてくれ!」って。

どこのモーターショーでも、プレスカンファレンスはあらかじめ時間が決まっていて公式なタイムスケジュールが報道陣に配られるんです。ところが、インドは違う。公式なタイムスケジュールに記載のないプレスカンファレンスも開催されていたりして記者泣かせ。

でもって何に驚くかって、ボクらが「闇カンファレンス」と呼ぶ、そんな公式スケジュールに記載がないゲリラ的なプレスカンファレンスでも、実際に行ってみるとしっかり報道陣がいるんだからビックリ。どうなってるのよ、インド。みんなどこから情報を得ているの?

「先進国のモーターショーを訪れている人はみんなおとなしい」…それがインドのモーターショーで分かったこと。

インドのモーターショー。それはまさにカオスでした。でも、ここで力強く生きていくにはそこでの対応力が大切なんだろうな。日本人メディアにはかなりハードル高いけど。

精進します。

(工藤貴宏)

この記事の著者

工藤貴宏 近影

工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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