●前期型と後期型でベーシックモデルに搭載されるエンジンが異なる
ドイツを代表するスポーツカーのポルシェには「最新のポルシェが最良のポルシェ」という格言があります。なかでもポルシェブランドのコアモデルとなる911は最新モデルの第8世代となる992型となっても、ひと目で911とわかるアイデンティティを受け継ぎつつ進化しています。
最新型のポルシェ911はエントリーモデルとなる911カレラでも1359万7222円と、なかなか手が届かないモデルとなっています。
そこで、ポルシェ911の中古車事情をチェックし、どの世代のモデルが現在どれくらいの価格帯なのかを紹介していきたいと思います。今回は先代モデルとなる991型のポルシェ911です。
先代モデルとなる991型のポルシェ911は2011年11月より受注が開始されました。ボディの骨格にアルミニウムを採用し、剛性を高めると同時に軽量化を実現したのが特徴です。
搭載されているエンジンは、2011年〜2015年式の前期型にはカレラ系には最高出力350psを発生する3.4L水平対向6気筒自然吸気、カレラS系には最高出力400psを発生する3.8L水平対向6気筒自然吸気。そしてターボ系には最高出力520ps、560psと異なる仕様の3.8L水平対向6気筒ターボを搭載。
スペシャルモデルのGT3系は3.8L水平対向6気筒自然吸気そして4L水平対向自然吸気エンジンを搭載しています。
一方、2015年〜2019年式の991後期型の911では、GT3系だけが自然吸気エンジンとなり、従来自然吸気エンジンだったカレラ系やタルガはライトサイジングと呼ばれる3L水平対向6気筒ツインターボエンジンへと変更されました。さらに2017年には最高出力700psを発生する3.8L水平対向6気筒ツインターボエンジンを搭載したGT2RSが追加されています。
現在、ポルシェ911の中古車は約975台流通していますが、991型の先代911は約410台となっており、この先代991型が911の中古車のコアモデルとなっています。
中古車の平均価格を調べてみると、3カ月前が約1276万円で、しばらく1250万円付近を横這いで推移していましたが、最近になって再び約1276万円まで値上がりしています。中古車の平均走行距離が約1000km短くなっていることから、走行距離が延びた中古車が市場から姿を消したと考えられます。
991前期型で流通台数が多いグレードを調べてみるとカレラSのPDK車が約47台、カレラSのPDKが約40台と続き、第3位はGT3の約18台となっています。一方の後期型ではカレラPDKが約64台と最も多く、次いで多いのがGT3RSの約41台。そしてカレラSPDKと前期型とは若干流通台数が異なっています。
991型ポルシェ911の中古車の価格帯は約615万〜約9910万円と非常に幅広いのが特徴です。流通台数の多いカレラPDKで前後期の価格帯を調べてみると、自然吸気エンジンを搭載した前期型は約615万円〜約960万円。ターボ化された後期型は約898万円〜約1380万円とかなりクロスオーバーしています。
また、カレラのMT車は前後期を通じてわずか7台しかなく、約828万〜約1078万円と高めとなっているのが特徴です。
まだ、年式が新しいので、ターボエンジンの後期型のほうが高値となっていますが、今後自然吸気エンジンのほうが価格上昇という可能性は非常に高いと考えられます。
(萩原文博、写真ポルシェジャパン)