【自動車用語辞典:スペックと分類「クーペとステーションワゴン」】スポーティながら居住性が異なる2つのボディタイプ

■代表的な6つのボディタイプの中から選んだ2種の特徴

スタイル・機能による分類
スタイル・機能による分類

●走行性能とスタイルを重視したクーペと居住性を意識した2ボックスセダンのステーションワゴン

代表的な6つのボディタイプであるセダン、ハッチバック、クーペ、ステーションワゴン、SUV、ミニバンについて、その特徴を整理しました。

スポーツカーとしてスタイル性を重視した「クーペ」と、セダンの安定性とラゲッジ収納力を持たせた「ステーションワゴン」について、その特徴を解説していきます。

●クーペの特徴

クーペは、一般的には3ボックスの2ドアでルーフが低いスポーティなボディスタイルです。2ボックスでリアハッチを備えた3ドアクーペ、4ドアクーペや5ドアクーペも登場したため、定義が曖昧になっています。

典型的なクーペは、走行性能とデザイン性を重視したスポーツカーと呼ばれるリアシートのない2シーターです。優れた走行性能を実現するため、高性能なエンジンやサスペンションを装備しています。

・代表車種

トヨタ・86、ベンツ・EクラスクーペE400、BMW・2シリーズM2クーペ、日産スカイライン

●クーペのメリット、デメリット

走りが楽しめるスポーツタイプのクルマは、走り好きな人には憧れの存在です。一方で、2シーターなら問題ありませんが、リアシートがある2列シートの場合後席は十分な居住性が得られません。

妥協策として、2ドアセダンに近いボディ形状で、後席に最低限の居住性を確保した4名乗車のセダン派生クーペがあります。ただし、その分本来のスポーティなデザイン性は、損なわれます。

●ステーションワゴンの特徴

ステーションワゴンは、セダンをベースにしてルーフをボディの後端まで伸ばして、トランクスペースの部分まで居住空間とした2ボックスカーです。トランクスペースの高さは、車室高と同等にできるので、ラゲッジ収納力が高まります。

基本的には5ドアで、エンジン性能を上げて足回りなどをスポーティにしたスポーツワゴンと呼ばれるタイプが、実用性と動力性能を両立させたクルマとして人気があります。

・代表車種

スバル・インプレッサSPORT、スバル・レヴォーグ、トヨタ・カローラフィールダー

●ステーションワゴンのメリット、デメリット

ステーションワゴンのメリットは、セダンやクーペに近い性能と乗り心地、その上ラゲッジの収納力があることです。トランクルームと異なり、長尺の荷物も積むことができます。

後部シートの後ろに、ラゲッジスペースが広がっているため開放感があります。また、シートスライド機構のあるクルマも多く、ミニバンほどではありませんが、シートアレンジができます。

欧州では人気のボディスタイルですが、日本では1990年代半ばのブーム以降はミニバンやSUVの人気に押されています。

・バンとの違い

ステーションワゴンにスタイルが類似したクルマにバンがあります。違いは、ワゴンは乗用車、バンは貨物車で4ナンバーです。バンは、その性格上ワゴンに比べて装備や乗り心地などが劣り、価格も抑えられています。


車高が低く、高性能のエンジンと足回りを装備したスポーツカーに代表される「クーペ」は、クルマ好きの憧れです。車室空間が狭くなるのは、致し方ありません。

セダンの快適性と適度なラゲッジスペースを持たせた「ステーションワゴン」は、スポーツセダンの進化型と言えます。ミニバンやSUVに押されて存在感が薄れているステーションワゴンですが、再び人気を得るためには商用バンと一線を画するような洗練されたデザインが必要ではないでしょうか。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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