マイナーチェンジで消えた日産セレナNISMO。復活はあるのか、それとも悲運の名車となるのか?【中古車】

●e-POWERが主力パワートレインとなったことが要因か?

日産・セレナはクラストップレベルの広い室内空間と利便性の高いデュアルバックドアを採用し、プロパイロットをはじめとした充実した安全装備、さらにモーター駆動によりEV(電気自動車)ライクな走りを楽しめるe-POWERの搭載など魅力がいっぱいです。

その結果、2018年にミニバンの新車登録台数No.1に輝きました。

セレナ外観01 セレナNISMOの走行シーン

そのセレナがさらに商品力に磨きを掛けるために2019年8月にマイナーチェンジを実施し、内外装の変更と安全性能の向上を図りました。しかしこのマイナーチェンジによってラインナップから消えたグレードがあります。それが「セレナNISMO」です。

セレナ外観02 セレナNISMOのフロントスタイル

セレナ外観03 セレナNISMOのリアスタイル

2017年11月に販売開始されたセレナNISMOは、ミニバンの人気モデルであるセレナにサーキットで培ったNISMOの高い技術を惜しみなく注入したモデルです。

セレナの特徴である家族全員でロングドライブを楽しむことのできる使い勝手の良さや快適性を損なうことなく、迫力のあるスタイリングと爽快なドライビングを備えたモデルと言えます。

セレナ快感04 セレナNISMOのフロントバンパー

セレナ外観05 セレナNISMOに装着される17インチホイール

また、セレナNISMOは内外装だけでなく、その名前に相応しい走りを実現するために様々なチューニングが施されています。ボディ補強をはじめサスペンションチューニングなどにより、高速走行時に安心感のある高い走行安定性と気持ち良いハンドリングを実現。

さらにスマートシンプルハイブリッドと呼ばれる2Lガソリンエンジン+モーターを制御するコンピューターも専用チューニングを施し、スポーツチューンドマフラーとの相乗効果により気持ちの良い加速フィーリングを実現しています。

そんなセレナNISMOの車両本体価格は341万9280円でした。

●e-power人気がNISMOを苦戦させた!?

関係者に話を聞いたところ、セレナは2019年のマイナーチェンジ後は人気の高いe-POWERを主力商品とすることになったこと、そしてNISMOに相応しい高いパフォーマンスの走りを表現しにくいということで、ラインナップから落ちているそうです。

セレナ内装01 セレナNISMOのインパネ

新車で手に入れられないとなると中古車となりますが、2016年に登場した現行型セレナの中古車の流通台数は約2485台もありますが、現在、カタログから消えているセレナNISMOの中古車の流通台数は約25台で、全体の約1%というすでに稀少グレードなのです。

セレナ内装02 赤いアクセントが印象的なメーターパネル

セレナ内装03 セレナNISMOのフロントシート

そしてセレナNISMOの中古車の価格帯は約266万〜約343万円で、中には走行距離約200kmという新車に近い高コンディションのクルマも流通しています。

また平均価格は2018年式の3カ月前が約334万円、今月は約304万円と値落ち傾向。そして2019年式の3カ月前が約332万円、今月は約328万円でほぼ横這いと年式によって異なる動きです。

現在は順調ですが、もしこのまま生産終了となると、今後は値落ちのペースが鈍くなる、もしくは値上がりの可能性まであると言えるでしょう。

セレナ内装04 セレナNISMOのセカンドシート

セレナ内装05 セレナNISMOのサードシート

セレナNISMOはラインナップから消えていますが、外観のデザインは異なるもののエンジンやサスペンション、ボディワークなど同じチューニングが施されたオーテックスポーツスペックはマイナーチェンジ後も設定されています。したがって新車のセレナで高い走行性能を求める人はこちらもオススメです。と関係者は話してくれました。

セレナの外装05 セレナオーテックスポーツスペックの外観

もし、このままセレナNISMOが復活しなければ、わずか約2年しか販売されなかった悲運の名車となってしまうかもしれません。

(萩原文博)

この記事の著者

萩原 文博 近影

萩原 文博

車好きの家庭教師の影響で、中学生の時に車好きが開花。その後高校生になるとOPTIONと中古車情報誌を買い、免許証もないのに悪友と一緒にチューニングを妄想する日々を過ごしました。高校3年の受験直前に東京オートサロンを初体験。
そして大学在学中に読みふけった中古車情報誌の編集部にアルバイトとして働き業界デビュー。その後、10年会社員を務めて、2006年からフリーランスとなりました。元々編集者なので、車の魅力だけでなく、車に関する情報を伝えられるように日々活動しています!
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