■ブームのSUVは人気によって価格の設定が大きく分かれた
10年前、2009年の日経平均株価の終値は前年に起きたリーマンショックの影響で、1万546円でした。2019年の終値は2万3656円と倍以上となっています。株価は上昇しているものの、国内の物価や賃金はそれほど上昇していませんが、国産車の販売価格はどれくらい変わっているのでしょうか。2008年〜2009年に登場し注目されたモデルと現行モデルで車両本体価格を比較してみましょう。
ここでは現在ブームとなっているSUVの価格で検証しましょう。
まずはレクサスブランドの主力車種になったレクサスRXです。セダンの乗り心地とSUVのユーティリティの高さを両立したクロスオーバーモデルとして、初代レクサスRXは2009年1月に登場しました。
搭載されているパワートレインは3.5LV6ガソリンエンジン+6速ATのみでしたが、同年4月に3.5L V6ガソリンエンジン+モーターのハイブリッド車そしてエントリーグレードとなる2.7L直4ガソリンエンジン+6速ATが追加されました。グレード体系はスタンダード、スポーティなバージョンS、豪華仕様のバージョンLそして極上の乗り味を実現するバージョンL・エアサスペンションの4グレードを用意していました。
2009年4月当時のレクサスRXの車両販売価格はRX350の460万円〜RX450h バージョンL・エアサスペンションの650万円となっていました。
現行型のレクサスRXは2015年10月に登場。当初は2列シートモデルのみでしたが、2017年12月に3列シート仕様のRX450h Lを追加しバリエーションを拡充させています。
搭載されているパワートレインは2L直4ガソリンターボエンジン+6速ATと3.5L V6ガソリンエンジン+モーターのハイブリッド車の2種類です。両エンジンともに駆動方式はFFと4WDを用意し、JC08モード燃費は11.2〜18.8km/Lを実現しています。グレードはスタンダード、スポーティなFスポーツ、豪華仕様のバージョンLが各エンジン搭載車に設定されています。
車両本体価格はRX300 2WD車の503万6727円〜RX450h Lの781万5273円で、3列シート車が設定されたことで、最高価格が約130万円アップしています。
続いては、北米市場で非常に人気の高いスバルレガシィアウトバックです。
2009年5月に5代目となるレガシィシリーズの一員として、クロスオーバーSUVのアウトバックが登場しました。グローバルモデルというポジションを明確化するため、先代モデルと比べてボディサイズが大型化されたのが特徴です。アウトバックに搭載されているエンジンは2.5L水平対向4気筒DOHC、そして3.6L水平対向6気筒DOHCの2種類。組み合わされるミッションは2.5LがCVT、3.6Lが5速ATとなります。
グレード構成は2.5Lが標準車の2.5iと豪華仕様のLパッケージ。そして3.6Lは標準車の3.6Rとアダプティブクルーズコントロールなど運転支援機能が充実したSIクルーズの4グレードを用意。2009年5月当時のアウトバックの車両本体価格は2.5iの267万7500円〜3.6R SIクルーズの370万1250円でした。
現行型レガシィアウトバックは2014年3月に登場。先代モデルに比べて全高は下がったものの全長、全幅は拡大され、さらに海外市場に比重が置かれたモデルへと変わりました。搭載しているエンジンは2.5L水平対向4気筒のみで、組み合わされるミッションはCVTのみというシンプルな構成です。
先代モデルでは当初、最上級モデルのみにしか運転支援システムは装着されていませんでしたが、最新モデルではスバル独自の運転支援システムアイサイトver.3をはじめ全方位を検知できるほど進化を遂げています。
すでに北米ではニューモデルが発表されており、日本市場でも2020年内にはフルモデルチェンジを行う予定です。現在の車両本体価格はB-スポーツの341万円〜リミテッドの363万円とエントリーグレードの価格は大幅にアップしていますが、最上級グレードの価格は下がっています。
2009年7月にはSUVながら日産が誇るスポーティセダン、スカイラインに匹敵する走行性能を実現したクロスオーバーモデルとして、スカイラインクロスオーバーが登場しました。3.7L V6エンジン+7速ATというハイスペックなパワートレインを搭載し、車両本体価格は447万1200円〜546万4800円となっていましたが、現在は後継車種がないとい寂しい状態となっています。
その一方で、SUVの人気モデル、レクサスRXはトレンドである3列シートをラインナップに加えて、盤石の体制を築いています。
(萩原文博)